多くの関係者は不動産価格の高騰を不安視している。しかし、その見立ては正しくないかもしれない。バブル気味の不動産価格がなぜか弾けない「5つの理由」を考えよう。

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「イノベーターは常に常識を疑う」

『イノベーションのジレンマ』の著者、クレイトン・クリステンセンの言葉である。不動産に関わる大多数の人が、不動産価格の高騰を不安視している。そんな人は「リーマンショックのように下げ局面がいつか来る。その際には買いたい」とも言う。これは今やステレオタイプの言い分になってきた。素人が半ば「したり顔」で言っているのを見ると、「待てよ、そんなイージーなはずがない」と考え始めることになる。次なる局面は意外な展開になるかもしれない。そんな可能性を検討してみよう。

 投資家は利回りで相場感を把握している。借入れ金利が下がると、利回りが低くても購入意欲が湧く。「利回り−金利」のギャップが大きくなれば、投資機会があると考えられるからだ。この価格が不動産へのお金の流れと連動することははっきりしている。

 筆者がよく使っている以下のグラフを基礎編として紹介しよう。不動産を購入するときは借り入れを伴うことが常だ。借り入れが以前よりもたくさんできるということは、バランスシート(貸借対照表)上資産はインフレすることになるから、当たり前と言えば当たり前の話である。

◆図表1:賃貸マンション取引価格と金融緩和の関係

意外に下がっていない
リーマンショック後の不動産価格

 リーマンショック前後で不動産が下げたことは、確かに事実である。では、どの程度下げたか過去の市場価格の変化を検証しておこう。まず、自宅購入者を対象にして、新築マンションと中古マンションの価格インデックス(下記グラフ)を使おう。これは株でいう日経平均やTOPIXのようなものだ。インデックスは物件価格を物件の立地によって品質補正をしているので、単純平均よりも正確な動きを表しており、四半期単位に算出している。

◆図表2:首都圏新築・中古マンション価格指数

 リーマンショック後、新築価格は1年(4回の四半期)にわたって下げているが、その下げ幅は6%に過ぎない。その後1年は横ばいで推移している。この横ばいの期間も不動産の仕入れに当たる土地価格は下落し続けていた。それなのに、販売価格が下がらないのには理由がある。新築マンションを供給するデベロッパーの多くが倒産し、塩漬けになる案件が続出、新規供給が以前と比較して3分の1ほどに減ってしまったからだ。

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