以上の点を踏まえれば、OAの対象になりそうなポジションは4つ。攻撃的MF、SB、FW、そしてCBだろうか。
 欧州のクラブは基本、五輪に対する関心が低く、選手の貸し出しに消極的だ。五輪の本大会が開催される8月は、新シーズンの戦いに向けキャンプやプレシーズンマッチを実施 している時期で、チーム作りの真っただ中。その間、ヨーロッパ・カップ戦の予選やプレーオフもこなすわけで、当然ながら重要な戦力ほど手元に置いておきたい。

 選手は選手で、必死にアピールしたい時期でもある。移籍で新天地を求めれば、なおさらだろう。所属クラブでポジションを勝ち取るために、OAを辞退するケースがあったとしても不思議はない。

 加えて、気になるのはA代表との兼ね合いだ。9月1日にはワールドカップ・アジア最終予選の初戦(UAE戦)が控えている。リオ五輪に臨むU-23代表が準決勝まで勝ち進めば、帰国は決勝か3位決定戦(いずれも8月20日)の後で最終予選のUAE戦まで約10日。仮にA代表でも活躍する欧州組の選手が五輪メンバーにいた場合、十分な休息を与え られない。これはヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとって、できれば避けたい事態のはず。

 要するに、選手がOAとして五輪出場を熱望しても、それを実現できない可能性もあるわけだ。欧州組の招集は、極めて高いハードルになる。