ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は前半のみで交代。それでも、人を使ってリズムを作れるボランチは自分しかないと改めて感じたという。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンカップ]日本代表1-2ボスニア・ヘルツェゴビナ代表
6月7日/市立吹田サッカースタジアム
 
 ブルガリア戦に続き、2試合連続でスタメン起用されても柏木陽介は、前半45分で交代を言い渡された。プレーの感触は悪くなく、むしろ「良かった」(柏木)のに……。「戦術的な采配は納得している」と自分に言い聞かせるように言葉を紡ぎつつ、「ミスなくできたので、もう少しやりたかった」と本音を覗かせた。
 
 しかも、柏木が下がった後半、右サイドの浅野拓磨を裏に走らせるプレーに偏重し、徐々にリズムを失っていったのだからなおさらだ。
 
「浅野の裏を狙っていたことで、攻撃が単調になりすぎた部分はあった。もう少し相手を動かしながら中に入れたり、外に入れたりする場面を使い分けて攻撃ができたら良かったと見ていて思った」
 
 ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で左サイドから攻撃を演出した宇佐美貴史は、柏木が中盤にいた時間帯のプレーについてこう語る。
 
「陽介くんは左利きなので、左に視野を取れる。前半は陽介くんのところから良いボールが出て来ていたし、(長友)佑都くん、僕、キヨくん(清武)が絡んで、やりながら楽しかった」(宇佐美)
 
 陰ながら宇佐美を気持ち良くプレーさせていた柏木だが、「キヨと(宇佐美)貴史、左サイドで起点を作ることを考えていた。でも、自分としては浅野とオカちゃん(岡崎慎司)を使うことができなかった」と悔やむ。ただ一方で、チームが逆転負けを喫し、自分の代わりに出場した遠藤航が好パフォーマンスを見せたなかでも、柏木は冷静に現実を受け止め、自分の存在価値を見出していた。
 
「今日は割と前を向ける時間もあったし、ボールを持った時の自分の特徴とか、人を使ってリズムを作っていく部分はできたと思う。今の日本のボランチの中で、そういうことをできる選手は改めて俺しかいないかなってと感じた。そこは自信を持って取り組んでいきながら、裏を狙っていくとか、そういうこと(足もと以外の動き)を心掛けてプレーしていけたらいい」
 
 今回のキリンカップには、山口蛍(故障中)や柴崎岳といったボランチが名を連ねておらず、柏木は「チャンスをもらっただけ」だと語る。代表で生き残るために――。自分の立ち位置を確認し、改めて己のストロングポイントで勝負していく覚悟は決まった。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)