社会とのつながりは運動と同じくらい健康にとって重要(shutterstock.com)

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 今年、『ネイチャー』や『サイエンス』と並ぶ世界的な総合学術雑誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に、「人間の社会的関係は長寿の生理的な決定要因(Social relationships and physiological determinants of longevity across the human life span)」と題する論文が発表された。

 この論文については『ワシントンポスト』も「社会とのつながりはダイエットや運動と同じように健康向上に重要(Your relationships are just as important to your health as diet and exercise)」と啓発する記事を掲載し、孤独が世界的な社会問題化している現状を浮き彫りにしている。

 論文によれば、米国のノースカロライナ大学チャペルヒル校社会学科研究グループは、人間の社会的つながりと、心臓病、脳卒中、がんの発症リスクの関連性を詳細に分析し、異なる年齢層(若年、壮年、中年、老年)から収集した大規模な縦断データに基づいて、孤独と疾患の因果関係を明らかにした。

 研究グループは、Add Health(7889人)、HRS(4323人)、SHAP(1571人)、NMIDUS(863人)の4つの縦断データを包括的に分析し、心臓病、脳卒中、がんの発症に高い関連性をもつ血圧、BMI(ボディマス指数)、ウエストサイズのほか、特定のタンパク質(CRP)を解析。

 社会的つながりを、広さ(社会的統合)と質(社会的サポート)に分けて、被験者に質問した。ちなみにCRPは、炎症や細胞の破壊によって血清中に増加するタンパク質(C-リアクティブ・プロテイン)。病気の進行度や重症度、早期診断、経過、予後などを判定する指標になる。

 「人間関係の広さ(社会的統合)」については、結婚、家族、親戚、友人との関わり合い、地域活動、ボランティア活動、教会への参加などについて、「接触する頻度は高いか?」「一緒にいて楽しいか?」「居場所があるか?」を質問。

 「人間関係の質(社会的サポート)」については、「互いに支え合う関係か?」「互いのことを分かり合っているか?」「自分の本心を出せるか?」を質問した。

 その結果、「人間関係の広さ」は若年期(10〜20代)と老年期(60代後半以上)の健康維持に、「人間関係の質」は壮年期(30〜40代前半)から中年期(40代後半〜60代前半)の健康向上に強い影響を及ぼしていることが分かった。

 つまり、若年期に社会から孤立すると、運動をしないのと同じくらいCRPが増加するので、炎症リスクが上昇する。老年期に社会から孤立すれば、高血圧、糖尿病、発症リスクが高まる。中年期に社会的なサポートあるだけで、BMIが低下し、肥満になりにくくなる。

 だが、中年期に社会的なサポートがなければ、CRPが増加し、炎症リスクや心臓病、脳卒中、がんの発症リスクが高まる。

 研究グループは、若い時にネットワークを広げれば、健康にプラスになるが、健康が不安になるミドルになれば、健康な食事や適度な運動と同じように、心おきなく話し合え、信頼できる親友が欠かせないと結論づけている。
オヤジになったら運動より親友作りに汗を流せ

 この研究から明確になった事実、それは「オヤジになったら運動より親友作りに汗を流せ」という教訓だ。

 10年先、20年先、30年先も、健康体で生きられるのか? 急病で倒れないか? 元気に働けるのか? ちゃんと食べていけるのか? 家族を養えるのか? ひとり寂しく暮らすことにならないか? ......男なら、孤独への恐怖や未来への漠然とした不安に駆られる時が必ずある。

 自分との対話が必要だ。人生や社会の自分の立ち位置はこれでいいのか? 自分に欠けているのは何か? やるべきことは何か? やり遂げるべき目標は何か? そう胸に問い質した時、今のままではいけない! もっと自分らしく生きなければ! そんな気づきも危機感も湧いてくるはずだ。

 人間は、人格的成長を遂げたい、自分を高めたい、自分の可能性を信じたい、社会や人にもっと貢献したいというポジティブなDNAを持っている。そのような人格的成長のスイッチを押すきっかけを与えてくれるのは親友しかいない。

 親友なら、取り立てて用事がなくても話し合える。グチを肴に酒も飲める。孤独感や不安感を乗り越える強力なエナジーに変換してくれる。打算も損得勘定もなく受け止めてくれる。雨が降れば傘を貸してくれる。弱った心を守ってくれる。生きる勇気も健康への活力も手助けしてくれる。

 孤独を人生のリスクにしないために親友を大切にしよう!
(文=編集部)