代表通算50得点目に王手をかけていた岡崎は、まさかのシュートゼロ。ボスニア・ヘルツェゴビナの堅牢な守備に終始、苦しんだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 PK戦の末に勝利したデンマーク戦で受けた印象とは、まるで違っていた。
 
 その試合、ボスニア・ヘルツェゴビナは“のらりくらり”と戦っていた。前半だけで2点のビハインドを背負うなど、エンジンのかかりも遅かった(後半に2点差を追い付き、PK戦は4-3のスコアで逆転勝ち)。
 
 岡崎慎司は「スタートで相手の出鼻を挫くっていうのが、自分たちが最初にやらないといけないこと。向こうはスロースターターで来る可能性もあると思う」と戦前の予想を立てていた。
 
 しかし、出鼻を挫かれたのは日本だった。開始2分、最も警戒すべき2メートル近くあるエースのミラン・ジュリッチの先制パンチを喰らう。打点の高いヘディングシュートを、マークしていた森重真人は防げなかった。GK西川周作のファインセーブで事なきを得るが、10分には左サイドからカットインしてきたイゼト・ハイロビッチの強烈な左足のシュートを浴びる。
 
 その後、日本も宇佐美貴史を中心に盛り返し、いくつかの決定的なチャンスを作り出す。迎えた28分には、その宇佐美のクロスを清武弘嗣が押し込み、幸先良く先制に成功する。しかし、そのわずか1分後には、浮き球のミドルパス1本で最終ラインの背後を突かれ、最後はジュリッチに押し込まれて、すぐさま試合は振り出しに。
 
 両者譲らず、一進一退の攻防が展開される。ファイナルに相応しい、見応えのある好ゲームだ。タイトルが懸かっているとはいえ、テストマッチの側面も多分にある大会ではあるが、少なくともボスニア・ヘルツェゴビナはデンマーク戦とは比較にならないほど“ガチ”で戦ってきたと思う。
 
 迎えた後半、66分にはFKを起点に、たった2本のパスでバイタルエリアを攻略され、再びジュリッチに決められて、1-2。逆転された日本は猛反撃を試みるも、奏功せず。リードを奪ったボスニア・ヘルツェゴビナの堅牢な守備ブロックを、日本は最後まで崩し切れなかった。
 
 9月から始まるロシア・ワールドカップ・アジア最終予選前の最後の実戦の機会に、こうした相手と戦えたことの意義は小さくない。気合いの入った欧州の中堅国と対峙できたことで、日本の現在地が浮き彫りになったと言えよう。
 
 では、今の日本はなにができて、なにができなかったのか。今後に向けて、いかなる収穫と課題があったのか。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、決戦を前に「空中戦で我々を支配する相手に対してどう対応するか」と警戒を強めていた。
 
 前線のジュリッチのみならず、194センチのトニ・シュニッチ、189センチのハリス・メドゥニャニンとエディン・コカリッチ、188センチのマリオ・ブランチッチなど、ボスニア・ヘルツェゴビナには長身選手がズラリと揃う。スターティングメンバーの平均身長は185.1センチ。178.8センチの日本と比べ、6.3センチも高い。
 
「強引に仮想すると、オーストラリア戦だった」(本田圭佑)
 
 そう考えると、最終予選に向けて不安は拭えない。先述した開始早々のピンチを含め、様々な局面で高さでは圧倒的に負けていたし、ロングボールの供給源も思うように潰せていなかった。
 
 高さだけでなく、フィジカルに勝る相手に対し、日本は“デュエル”でことごとく劣勢を強いられていた。長谷部誠はチーム全体の競り合いの貧弱さを嘆く。
 
「フィフティ・フィフティのボールに関しては、7〜8割方、向こうに拾われていた。局面の1対1で負けていたら、サッカーにならない。そこは、監督が言っているデュエルというところかもしれないし、その部分で今日は明らかにやられていた」