W杯最終予選へ危機感が高まった日本代表…ボスニア戦で見えた攻守の課題

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 7日に行われたキリンカップサッカー2016決勝のボスニア・ヘルツェゴビナ戦(吹田)、序盤の日本代表は清武弘嗣(ハノーファー)・宇佐美貴史(ガンバ大阪)・柏木陽介(浦和レッズ)による左サイドのトライアングルがうまく機能していた。宇佐美が開始12分に左サイドから思い切りよく放ったシュートに始まり、清武弘嗣(ハノーファー)がGKと1対1となった15分の決定機など、数多くのチャンスを演出。森重真人(FC東京)が中央の高い位置から左サイドに振り、宇佐美の小気味いいドリブル突破からゴール前の清武にラストパスが渡って決まった28分の先制点は、日本代表らしい攻めの連動性が凝縮されたものだった。

 だが、この先制弾から1分も経たないうちに一発のサイドチェンジを頭で折り返され、ボスニア・ヘルツェゴビナのエースFWミラン・ジュリッチ(チェゼーナ)に同点とされる。「あそこで失点があったのが今日のポイントだった」と岡崎慎司(レスター)も苦虫をかみつぶしたような表情で語っていたが、相手の高さとパワーに屈したこの一撃は非常に大きなダメージとなった。ベンチで見ていた槙野智章(浦和)も「ロングボール1本でチャンスを作られている展開に手を焼いていた」と、負傷欠場した本田圭佑(ミラン)や香川真司(ドルトムント)と問題点を指摘し合ったことを明かす。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督もロングボール攻撃の起点になっていたジュリッチとアルミン・ホジッチ(ディナモ・ザグレブ)のFWコンビを封じるため、後半から柏木に代えて遠藤航(浦和)を投入。デュエル(局面の競り合い)の部分では改善が見られたが、今度は攻めのバリエーションが乏しくなる。そんな中、日本は後半21分、FKからイージーな逆転弾を食らう。これもまたジュリッチの個人能力にやられた形。「自分たちのディフェンスはセットプレーや得点シーンで簡単にやられている。今すぐに体を大きくしろと言われてもムリだけど、連動した守備をしないといけない」とキャプテンの長谷部誠(フランクフルト)も苦言を呈していた。

 その後の日本は代表デビューの小林祐希(ジュビロ磐田)を筆頭に実績の少ない選手が次々と出てきて、これまでのハーモニーが失われていった。「練習時間が短い中で連携を高めるのが難しいけど、それでも結果を出さないといけない」とフル出場した長友佑都(インテル)も厳しい言葉を口にしていたが、やはり攻撃の軸が何人もいなくなると攻めもスムーズには機能しなくなる。若き新星・浅野拓磨(サンフレッチェ広島)が決定機を決めきれずに涙したが、それが今の実力だと認めるしかない。最終予選に向けて自信を得るはずだったこの試合で、日本が直面したのは攻守両面の数多くの課題だった。

 まず攻撃面は、清武・宇佐美・柏木が近い距離感でイメージを共有できていた先制点まではよかったが、そこからは効果的かつ迫力ある崩しが明らかに減った。「後半も両サイドをうまく使えればよかったけど、単調になったり、相手が引いた中でパスコースが沢山ありすぎて、そこで取られてカウンターというのが多々あった」とトップ下でフル出場した清武も落胆を露わにした。「真司や圭佑がいない中で、求められるサッカーの質が少し落ちた」と長友もズバリ確信を突いていた。

 本田は「ブルガリア戦の大勝が精神的油断を招いた」とピッチに立った仲間たちを慮る発言をしていたが、やはり彼と香川がいなければ相手が強固な守備組織を敷いてきた時に崩し切るのは容易ではない。岡崎が想像以上にボールに絡む回数が少なかったのも、慣れ親しんでいる2人の不在が影響しているのだろう。最終予選は毎回ぶっつけ本番の戦いになるだけに、攻撃陣の底上げは至難の業と言っていい。