1点のビハインドを背負った74分に出場した小林(24番)は、広範囲に動いて起点になろうとした。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンカップ]日本代表1-2ボスニア・ヘルツェゴビナ代表
6月7日/市立吹田サッカースタジアム
 
 1点ビハインドで迎えた74分、ピッチサイドに背番号24が現われる。今大会初戦前、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督から「まだ(試合に出る)準備ができていない」と言及されていた小林祐希は、自ら出場の機会を掴み獲り、代表デビューを飾った。
 
 宇佐美貴史に代わって左ウイングに入る際、監督からは左サイドの裏を狙うように指示を受けたという。しかし、裏のみの単調な攻撃になっていたチームを見て、「間で受けて、ワンクッション入れての動きにしたほうが相手も引き出せるし、ダメージも与えられる」と自分の考えを落とし込んだプレーを披露した。
 
 左サイドから中央、時には逆サイド付近まで流動的にポジションを取りながら、身振り手振りを交えて積極的にボールを要求。左右に捌いて攻撃にリズムを生むと、78分には岡崎慎司からパスを受けると、思い切り左足を振り抜き、強烈なミドルシュートを放って見せた。

「チャレンジせずに、パックパスしてミスしないのは誰でもできる。ミスしてもいいから全部前に行こうと。ポジションもキヨくん(清武弘嗣)に近づいたほうがチャンスになると思った時は中央へ行きました。シュートに関しても、遠目からでも狙えるというのは見せられたと思います」

 ただ、それだけで満足する男ではない。代表デビューの喜びよりも、試合後の小林祐希には悔しさが滲み出ていた。「まだ1試合目だから合うわけがない」とは理解しつつも、自分ならもっとできるという想いがあったからに違いない。そういった貪欲な姿勢には、「祐希みたいな選手がもっと出てこないと、世界のスタンダードには行けない。祐希は面白い存在だし、楽しみ」(本田圭佑)、「祐希は前に出て来る姿勢が良い」(槙野智章)とチームメイトたちも一目置く。

「世界に対しての想いが強くなった15分間でした。1、2日で自分の立場は変わらないけど、代表で生き残っていくイメージはかなりできました。この経験を活かしたい」
 
 代表初選出までは時間がかかっただけに、もうA代表から離れるつもりはない。今回の代表合宿、そしてボスニア・ヘルツェゴビナ戦でなにを学び、どう自分に還元して代表に生き残るか。小林祐希の新たな挑戦はもう始まっている。

取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)