photo by Bloomberg/Getty Images
 2016年5月16日、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイがアップルの株式に初めて投資したことが、米当局への届け出で明らかになった。その投資額は、981万株で10億7000万ドルだという。(参照『Guardian』)

 本サイトでは、2016年03月12日配信の「バフェット氏「株主への手紙」で米国市場を楽観視。手堅く行くなら米国株?」において、2015年12月末時点のバークシャーの投資先ポートフォリオである以下の上位5社を紹介していた。

1位:ウェルズ・ファーゴ:19.8%
2位:クラフト・ハインツ:18.0%
3位:コカ・コーラ:13.0%
4位:IBM:8.5%
5位:アメリカン・エクスプレス:8.0%

 現在は、バークシャーの投資先ポートフォリオもアップデートされている。2016年3月末時点のものが最新情報であるが、以下の通り、1位と2位が入れ替わり、16位にアップルが登場した。(参照:DATAROMA )

1位:クラフト・ハインツ:19.9%
2位:ウェルズ・ファーゴ:18.0%
3位:コカ・コーラ:14.4%
4位:IBM:9.6%
5位:アメリカン・エクスプレス:7.2%
16位:アップル:0.83%(981万株)

◆「わからないものには投資しな」かったバークシャー

 ウォーレン・バフェット氏の投資手法は、「バリュー投資」の実践である。バリュー投資とは、実際の価値よりも割安に放置されている株を購入し、本来の価値に戻った時に売却して利益を得る投資手法。バークシャーのポートフォリオを見ると、長期間、主要銘柄の構成比に大きな変動が無く、売却せず永遠に保有するのではないかとも思えるが、株式を買うタイミングでは、割安と思った株式であれば、株価が下がったタイミングで株式を購入している。

 また、ウォーレン・バフェット氏の投資手法のもうひとつの特徴として、「分からないものには投資しない」ということがある。従来、ウォーレン・バフェット氏はハイテク株を「よくわからない」として、投資してこなかった。ハイテク株の中では例外的に、バークシャーはIBMを保有しているが、IBMに投資を始めたのは2011年と、ごく最近のことである。IBMもハイテク株というよりは、ITサービス業であると筆者は考えているが、IBMを除いてバークシャーはハイテク株の保有はしていない。

◆アップル株投資への意味合い

 それでは、バークシャー・ハザウェイがアップルに初めて投資した意味合いは何か? それは、ウォーレン・バフェット氏およびバークシャー・ハザウェイが、アップル株を「バリュー株」で、かつ、「わかるもの」と認識したということであろう。

 まず、「バリュー株」であるかどうかについては、6月3日時点の終値97.92ドルであり、PER10.90、配当利回り2.33%、Yahoo! Financeの1年以内の目標株価123.98ドルとなっている。PER10.90と「割安」であり、すなわち、「バリュー株」と言える。配当利回りも高く、目標株価との乖離も大きい。

 次に、「わかるもの」であるかどうかについては、バークシャーがそのように認識しているという他は無い。従来、「長期的にどのハイテク株が勝つか、よくわからない、予見できない」からハイテク株をバークシャーは避けてきた。アップルの場合は、それに当てはまらないと認識したと考えてもおかしくないだろう。

 ただ、バークシャーによるIBMへの投資については、昨年12月末時点、株価139ドルで、含み損が26億ドルあった。6月3日時点、152ドルまで株価は回復しているが、これまでのところ、IBMへの投資を成功と見る向きは少ない。 IBM投資の実績から、第三者から見て、バークシャーがハイテク株を本当にわかっているのだろうかという疑問はあるだろう。アップル株についても、「バリュー株」であることは同意できても、バークシャーがハイテク株を本当にわかっているのかという疑問はあるだろう。