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東北大学は6月7日、物質の発見から20年間不明であった磁性半導体(Ga,Mn)Asの強磁性発現機構の解明に成功したと発表した。

同成果は、東北大学原子分子材料科学高等研究機構 相馬清吾准教授、高橋隆教授、松倉文藎教授、Tomasz Dietl教授、大野英男教授、同理学研究科 佐藤宇史准教授らの研究グループによるもので、6月6日付の英国科学誌「Scientific Reports」オンライン速報版に掲載された。

(Ga,Mn)Asは、よく知られた半導体であるGaAsに高濃度でMnを注入することで得られる物質で、半導体と磁性体の特質を併せもち、電気による磁性の制御を実現している。しかし、(Ga,Mn)Asがなぜ強磁性を示すのかについては発見から20年経った現在においても大きな論争があった。

今回、同研究グループは、外部光電効果を利用した光電子分光という手法を用いて、(Ga,Mn)Asの電子状態を高精度で決定することで、電子の不足状態であるホールキャリアが、As結合軌道とMn不純物軌道のどちらにあるのかを調べた。

同実験では、(Ga,Mn)As試料の汚染を避けるため、薄膜試料を作製する分子線エピタキシー装置から試料を一度も大気に出さずに常に超高真空環境で高分解能光電子分光装置に移送することで、(Ga,Mn)As本来の電子状態を観測した。

この結果、ホールキャリアの存在を示すフェルミ準位の位置が、As結合軌道内にあることが明らかになった一方で、As結合軌道が不純物帯の下に位置する不純物モデルでは説明できないことがわかった。

同研究グループは、今回の成果について、さらに高機能な磁性半導体材料の設計指針を与えるとともに、新たなスピントロニクス素子の開発を加速させるものであると説明している。

(周藤瞳美)