ひとつの数字で一喜一憂、はやめよう(画像はイメージ)

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「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」の値が高いからと言って、心血管疾患発症リスクの低下が期待できるわけではない――HDLコレステロールが過大評価されているとする研究結果が、米ダートマス大学やオレゴン健康科学大学、イエール大学、ノースウェスタン大学など、複数の大学による共同研究チームによって発表された。

コレステロールは細胞膜を構成するなど、生物の体内で重要な役割を果たす化合物。体内でたんぱく質と組み合わさった際の作用の違いによって、HDLコレステロールやLDLコレステロール(悪玉コレステロール)に分類される。「善玉」「悪玉」といった呼称は、健康に寄与する度合いによってつけられたもので、正式な名称ではない。

研究チームは、これまで検証研究がほとんど実施されていないにもかかわらず、HDLコレステロールの濃度が高いほど心血管疾患発症リスクが低下する、とされていることに疑問を感じ、実際にどの程度リスクが変化するのかを検証した。

研究は1970年台から米国で実施されている追跡調査「フラミンガム子孫研究」のデータから、調査開始時に心疾患を発症していなかった男女3590人分を抽出。1987〜2011年までのHDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド(TG)値と、心血管疾患発症リスクの関係を分析した。

その結果、HDL値は心血管疾患発症リスクを予想する指標になっていなかった。HDL値が高くても、LDLやトリグリセリドが血液1デシリットル中100 ミリグラムを超えていると、心血管疾患リスクは減少しておらず、HDL値が低くても、LDLとトリグリセリド値も低ければ、リスクに有意な変化はなかった。

心血管疾患リスクが最も高くなるのは、LDLとトリグリセリド値のどちらか一方、もしくは両方が高く、HDL値が低い状態で、すべてが平均値の場合よりも最大で60%上昇していたという。

研究者らは「HDL高値だけに注目し、LDLとトリグリセリドの数値を見落としていると、リスク判定を誤る可能性がある」と警告している。発表は、2016年5月11日、米国心臓協会誌「Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes」オンライン版に掲載された。

参考文献
Is Isolated Low High-Density Lipoprotein Cholesterol a Cardiovascular Disease Risk Factor?
DOI: 10.1161/CIRCOUTCOMES.115.002436 PMID:27166203

(Aging Style)