“裏を狙う動き”には絶対の自信を持つ岡崎だが、FWとしてマルチに振る舞えるのも強みだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 プレミアリーグ初制覇という最高のシーズンを送り、今は日本代表の一員としてキリンカップを戦っている岡崎慎司の耳にも、レスターのチームメイト、ジェイミー・ヴァーディーのアーセナル移籍の噂は届いているようだ。
 
「チームメイトとして、本当に心強かった。残ってくれたら、(新シーズンもレスターは)良い戦いができるのは間違いない。ただ、人生の選択とか、サッカー選手としての選択は、人それぞれ。いなくなれば、また違う選手が出てくればいい」
 
 ヴァーディーがポゼッションスタイルのアーセナルにフィットするかどうかを問われると、ポジティブな見解を示した。
 
「どのスタイルにも合わせられる可能性は持っていると思う。(ヴァーディーには)一瞬のスピードがあって、それを見てくれている選手がアーセナルにはいっぱいいるから、より活きるのでは」
 
 さらに、自身のプレースタイルと比べて、ヴァーディーの凄味をこう語る。
 
「僕だったらけっこう、かなり準備をして裏を狙っているけど、アイツの場合は、フラッとしといて、一瞬で裏を狙ったりとかできる」
 
 この“裏を狙う”という動きは岡崎のストロングポイントであり、ブルガリア戦でも、絶妙なタイミングで相手の最終ラインの背後を突いて、柏木陽介のライナー性のクロスにヘッドで合わせてゴールネットを揺らしている。
 
 ただし、岡崎は“裏を狙う”ばかりではない。状況によっては、最前線から降りてきて盛んに縦パスを要求し、相手を背負った状態でボールを受け、攻撃を展開する役割も積極的にこなしている。
 
 プレーの幅を広げているのは事実で、イングランドはもちろん、ドイツでのプレー経験を経て、FWとしてマルチに振る舞えるようになった。
 
「いろんな役割をやってきた。マインツでは1トップもやったし、シュツットガルトではサイド、今はトップ下的なこともやっている。全部をやった結果、自分はどのタイプにも属さないと思う」
 
 自らを客観視すれば、CF、ウイング、セカンドストライカーなど、FWとして明確にカテゴライズはできない――それはつまり、「どのスタイルにも馴染めると思うし、掴みづらい選手になれると思う」と結論づけている。
 
 変幻自在にプレーを変えて、どんな要望にも応えてみせる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、岡崎に対し「A代表では、クラブとまったく役割が違う」と要求するが、岡崎からすれば、クラブではクラブ、代表では代表と切り替えるのはそう難しいことではなさそうだ。
 
 そこで大事になってくるのが、「自分らしいプレーを追求する」スタンスだ。それで結果を出せば、「監督からも周りからも認めてもらえる」。もしかしたら、不慣れなタスクを課されれば不安があるかもしれないが、岡崎は自分が信じたプレーをやり抜こうとする。
 
「自信を持ってやらないと、自信を持ったプレーにならないので。ハッタリでも良いから、強気で行く」
 
 ガムシャラにゴールへと向かって突き進むように、岡崎のプレーには一切の迷いがない。自分を信じて疑わない。それが、この男の最大の強さなのかもしれない。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)