ルクセンブルクは「小惑星採掘のシリコンヴァレー」になれるか?

写真拡大

ルクセンブルクは、小惑星採掘を計画する2社を招き、同国を研究開発の拠点にしてもらうことを発表した。法律も整備し、政府が自ら両社に投資する可能性もあるという。小惑星に眠る宝の山を掘り起こすためのチャレンジを、国をあげて行っていく。

「ルクセンブルクは「小惑星採掘のシリコンヴァレー」になれるか?」の写真・リンク付きの記事はこちら

ヨーロッパの小国・ルクセンブルクは、小惑星採掘業界のシリコンヴァレーになりたいと考えている。

立憲君主制国家であるルクセンブルクは6月3日(現地時間)、同国内に欧州本社を設立する宇宙関連のスタートアップに対して、2億ユーロ(約2億2,500万ドル)のクレジットライン(与信限度額)を設定すると発表した。

ルクセンブルクはすでに、米国に拠点のあるPlanetary Resources社およびDeep Space Industries社の2社と、両社が同国にオフィスを開設し、主要な研究開発を行うことで合意している。経済大臣を兼任するエティエンヌ・シュナイダー副首相は3日の記者会見で、「小惑星採掘におけるヨーロッパの中心になるつもりだ」と語った。

Planetary Resources社は、2012年に小惑星採掘計画を発表。リチャード・ブランソンのほか、グーグル(当時)のラリー・ペイジやエリック・シュミット会長などの支援を受けている(日本語版記事)。一方のDeep Space Industries社は2013年、小惑星で資源を採掘し、宇宙で「3Dプリント」して部品に加工するという構想を発表している(日本語版記事)。

ルクセンブルクの当局者は3日、2社のうち少なくとも1社は、3年以内に小惑星採掘の対象候補を調査するミッションに取りかかることができると確信していると語った。

ルクセンブルク政府が、自ら両社に投資する可能性もあるという。同国は1985年、情報通信衛星を運営するSES社の立ち上げに投資。同社は現在、世界有数の人工衛星企業になっている。シュナイダー副首相は、ルクセンブルクが最初にSES社に投資した1980年代当初は、人工衛星業界に対しても同じくらい懐疑論があったと語った。

小惑星採掘ビジネスの可能性

地球軌道の周りには、直径45m以上の小惑星が9,000個以上存在する。そのうちのいくつかは、これまで地球上で採掘された合計量に匹敵するほどのプラチナなどを含んでいる可能性があり、数十億ドルをかける価値をもつと考えられている(日本語版記事)。また、太陽から24時間届くソーラーパワーはビームで地球に送ることができるかもしれない。月や小惑星などに蓄えられた水を、燃料、農業、飲料水、放射線からの保護などに利用できる可能性もある。

米国は2015年秋、小惑星の資源採掘ビジネスを認める「商業宇宙打ち上げ競争法(Commercial Space Launch Competitiveness Act)」を成立させた(日本語版記事)。ルクセンブルクも法律を改正し、私企業には小惑星自体の権利はないが、小惑星で採掘した資源の権利は認めるようにすることを予定している。

なお、米航空宇宙局(NASA)は、小惑星に行きロボットでサンプルを採取し、持ち帰る探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」プロジェクトを進めている。初めての打ち上げは2016年9月に予定されている。

RELATED