吉田(22番)のクリアを相手に拾われて失点につながったが、セカンドボールをキープできていればカウンターを発動できたはず。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 キリンカップの初戦、7-2の大勝を収めたブルガリア戦で2ゴールを決めた吉田麻也だが、本職の守備ではふたつの失点を許している。ディフェンスリーダーとしては、自らのゴールを喜ぶより、悔しい気持ちのほうが強いのかもしれない。
 
 試合後のミックスゾーンでは、「このような守備じゃ上にいった時に苦しい。改善しなくてはいけない」と反省の弁を述べている。
 
 ブルガリア戦の映像は確認済みだ。「全体的に守備はすごく良かった」としたうえで、失点の場面については、「2失点とも、自分たちのミスから」と言う。
 
 特に最初の失点に関しては、「僕の個人的なミス」と吉田は認めている。自陣での相手のスローインをヘディングでクリアしたが、ピッチ中央に撥ね返したボールを相手に拾われ、そこから一気にバイタルエリアを崩されてゴールを許している。
 
 吉田の対応はタッチライン際でのことだっただけに、中にクリアせず、そのまま外に出して一度、プレーを切っても良かった。その意味では、たしかに“個人的なミス”だった。
 
 ただ、それも結果論であって、吉田の戻りながらの難しい態勢でのヘッドでスローインをカットしたのはグッドプレーだったし、セカンドボールを味方がキープしていれば、ブルガリアは前掛かりになっていただけに、効果的なカウンターを発動できたかもしれない。
 
 そう考えれば、中にクリアしたのも一概には悪いとは言えない。リスクは高いかもしれないが、ボールを大事にする“つなぐ”意識は、効果的な攻撃を生み出すはずだ。
 
 スローインの場面で、他の選手たちがアラートになっていなかったのも問題だ。ジブコ・ミラノフがボールを投げ入れた瞬間、ゴールを決めることになるミハイル・アレクサンドロフ、中央で吉田のクリアを拾ったステファン・ベレフ、さらには逆サイドにいたゲオルギ・ミラノフまでもが、日本の選手たちよりも早く動き出している。
 
 サイドからペナルティエリアに向かって進路を取ったM・アレクサンドロフに対し、マークしていた酒井宏樹の初動は一歩、遅れた。このわずか0コンマ何秒の遅れが致命傷となり、相手を捕まえ切れず、目の前で失点を許すことになった。
 
 吉田のクリアを拾ったベレフへの対応もルーズだった。近くにいた宇佐美貴史、柏木陽介の足は完全に止まっていて、加速したベレフを後追いする形となり、ペナルティエリア中央にいた森重真人も寄せ切れず。ベレフはまったくのフリーの状態で、日本の最終ラインの裏を突いたM・アレクサンドロフに浮き球のパスを通している。
 
 最後はGKの川島永嗣が身体を投げ出して1対1に挑むも止め切れず、必死の戻りを見せた長友佑都がゴールラインで粘ったが、最終的にはM・アレクサンドロフに押し込まれてしまった。
 
 ふたつ目の失点も、吉田の縦パスを金崎夢生が落としたところを、原口元気がコントロールできずに相手にボールが渡ってしまい、そこからカウンターを喰らって、イバイロ・チョチェフに決められた。
 
 I・チョチェフには懸命な走りで追いついた遠藤航が対応したが、球際で競り勝てず、シュートを打たせてしまっている。
 
 吉田は自らを戒めるように、「90分を通して、ああいうミスを減らしていかなければいけない」と表情を引き締める。
 
 ノーミスで試合を終えるのは不可能だが、失点につながるようなミスをひとつでも減らして、ボスニア・ヘルツェゴビナとの決勝戦は無失点で抑えたい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)