少子化で人口減が進む韓国。国防部はこのままでは必要な兵力は確保できなくなるとして、兵役を免除する「兵役特例制度」の廃止などを打ち出した。写真は韓国の兵士。

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2016年6月3日、韓国の徴兵制度が揺れている。国防部はこのほど、少子化で軍隊に必要な人数が確保できなくなるとして、兵役を免除する「兵役特例制度」の廃止を打ち出した。しかし、制度の廃止は専門的な研究者などの人材養成とも絡むため、国内では抵抗も多い。実現までには紆余(うよ)曲折がありそうだ。

38度線を挟んで北朝鮮と対峙する韓国軍の兵力は、陸軍50万人、海軍6万8000人(うち海兵隊2万7000人)、空軍6万5000人。19歳から29歳までの男性に兵役を義務付けている。満18歳で徴兵検査対象者となり、満19歳までに徴兵検査を受け、1〜3級の「現役(現役兵)」と4級の「補充役(社会服務要員)」、5級の「第二国民役(有事時出動)」などに分類される。

服務期間は陸軍と海兵隊が21カ月で、海軍23カ月、空軍24カ月など。大学進学率が高い韓国では大学で1、2年学んでから休学して入隊するケースが多く、復学後、社会に出る。

オリンピックのメダリストやサッカーワールドカップ(W杯)のベスト16以上など、スポーツ分野で活躍した選手が兵役を免除されることもあるが、その一方で、兵役逃れも横行する。歌手兼俳優の劉承俊(ユ・スンジュン)は「兵役に就く」と公言していたにもかかわらず、02年1月に突然韓国籍を捨て、米国籍を取得。「兵役忌避」の疑いで韓国への入国禁止となった。

韓国メディアによると、政府が今年2月に発表した最新の「合計特殊出生率」(人口統計上の指標で、1人の女性が一生に産む子供の平均数)は、1.24人。厚生労働省が5月23日に発表した日本の昨年の出生率は1.46人で、韓国の人口減はより深刻だ。

こうしたことから、国防部は23年までに約2万〜3万人の兵士が不足すると試算。徴兵検査の結果、現役兵として服務できる基準を満たしているが、国家競争力の向上のため、兵役の代わりに研究機関や産業団体に勤める「兵役特例制度」を見直す計画を策定した。20〜22年に3年間に段階的に減らし、23年に廃止するという。

国防部によると。現役兵志願に該当する産業技能要員や専門研究要員の選抜規模は、今年だけでそれぞれ6000人と2500人に達する。兵役特例要員に義務警察のような転換服務要員を合わせると、現役兵志願の代替服務要員の選抜規模は、今年だけで2万8000人。国防部は現役代替服務制度を将来、全般的に削減・廃止する方針だ。

制度廃止について韓国メディアは「人口減少に備え兵役特例要員を含む代替服務要員の削減・廃止計画を国防部が目指すのは今回が初めてではない。2000年代に入ってから何度か同様の計画を公開してきたが、関連機関の反対で実行できなかった」と指摘。これに対し、国防部は韓国では20年代初めから人口の急激な減少が予想されるとした上で、「徴兵対象者が不足することになるため、代替服務要員の削減・廃止は避けられない」と説明している。(編集/日向)