前半だけで2得点の香川(10番)をはじめ、清武(13番)は多くのゴールに関与し、小林悠(14番)は1アシストを記録。途中出場の宇佐美や浅野も得点を決めた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンカップ]日本代表7-2ブルガリア代表
6月3日/豊田スタジアム

 現体制下になって16戦目となるキリンカップ初戦のブルガリア戦は、初の欧州勢との対決である。しかも、ブルガリアは過去、5度対戦して、一度も勝ったことがない相手。フレンドリーマッチとはいえ、難しいゲームが予想されたが、終わってみれば7-2の大勝を収めることができた。
 
 ブルガリアの低調な出来は差し引いて考えなければならないが、それでも、6-0と相手を圧倒した昨年9月のアフガニスタン戦(ロシア・ワールドカップ・アジア2次予選)を上回る、7ゴールを奪った攻撃力は素直に評価したい。
 
 前半で4点、後半に3点と、最後まで攻撃の手を緩めず、貪欲にゴールを目指す姿勢を貫いた。「今日のゴールは全部、流れが良かったかなと思います」と清武弘嗣が振り返るように、多彩なゴールパターンを日本は披露してみせた。
 
 相手の最終ラインの背後を狙った柏木陽介の鋭い浮き球の縦パスに、見事な動き出しで裏を突いた岡崎慎司がヘッドで合わせて先制すると、長友佑都の高精度クロスを香川真司が頭で叩き込んでリードを広げる。
 
 特筆すべきは3点目だ。小林悠の右からのクロスを清武がスルーし、後方で待つ香川がボールを受けると、足裏を使った鮮やかなフェイントでDFをかわし、左足で冷静に流し込む。優れたアイデアと高い技術が凝縮された、流れるような崩しからネットを揺らしたファインゴールだった。
 
 前半最後の得点は、ショートコーナーから長谷部誠のクロスを逆サイドで待ち構える森重真人が折り返したところに、吉田麻也が丁寧に押し込む。迎えた後半、再び吉田が清武のアシストからチーム5点目をゲット。続けざまに、酒井宏樹のクロスが流れてきたボールを、宇佐美貴史が正確なハーフボレーで突き刺す。
 
 ゴールラッシュの仕上げは、浅野拓磨だ。自ら獲得したPKを確実に沈め、嬉しいA代表初ゴールに、お得意のジャガーポーズを披露した。
 
 この試合、絶対的な存在である本田圭佑は左膝裏の負傷で欠場。先発した香川も前半の終了間際に負傷交代している。ハリルジャパンの“ダブルエース”を欠くなか、途中出場の選手も含め、多くの選手がゴールに絡めたのは、今後に向けた好材料となるだろう。
 
 とりわけ、先発した清武のパフォーマンスは特筆に値するもので、自身のゴールこそなかったが、柔軟なテクニックと豊富なアイデアを駆使して攻撃をリード。本田や香川に勝るとも劣らない貢献度を示し、レギュラー奪取に向けて大きく前進した。
 
 一方で、ふたつの失点は余計だった。岡崎の先制点が生まれたのは開始4分で、序盤から日本はペースを握っていたが、15〜25分あたりはブルガリアに押し込まれる場面が目に付くようになる。
 
 そうした状況下で、キャプテンの長谷部が盛んに周囲に声をかける姿が見て取れた。
 
「先制すれば、相手も前に出てきて、押し込まれる時間は間違いなくあるだろうという話は試合前にしていました。そうなった時には、しっかりブロックを作って、ということで、ブロックは作っていたんですけど、ボールの取りどころがあまり定まっていなかった」
 
 相手をサイドに追いやるという守備のセオリーを守り切れてなく、球際の強度も下がっていたという。危険な匂いを感じ取った長谷部は、ディフェンス面の立て直しを指示。そこでなんとか持ち堪え、しばらくすると香川のチーム2点目が決まるが、「多少は修正できたと思いますけど、まだまだ完成度はそこまで高くない」と長谷部は言う。
 
 事実、6-0と大差がついて気が緩んだのか、宇佐美のゴールが生まれたその2分後に、最初の失点を許している。スローインを起点にバイタルを崩されたが、全体的に日本の選手の足は止まっていて、失点に至る一つひとつのプレーで反応が鈍く、後手を踏んでしまっていた。