【米国はこう見ている】イチロー、二盗&三盗 米メディアは配球読む“野球脳”を称賛
ニゴロに倒れるも、剛腕シンダーガードから「当然のように」2盗塁
マーリンズのイチロー外野手は3日(日本時間4日)、本拠地メッツ戦の7回に代打で登場。ニゴロに倒れたものの、併殺を免れて一塁に残り、二盗と三盗に成功して今季5盗塁とした。現地解説者は、メッツバッテリーの配球を読んだイチローの「偉大な“野球脳”」を絶賛している。試合は2-6でマーリンズが敗れた。
前日のパイレーツ戦では2安打1盗塁に加え、2度のスーパーキャッチで勝利に貢献したイチローはこの日、代打で出場。2点を追う7回1死一塁の場面で、剛腕シンダーガードの時速89マイル(約143キロ)のチェンジアップに二ゴロに倒れながら、併殺は免れた。
ただ、イチローの見せ場はこの後にあった。続くリアルミュートの打席で二盗に成功。「FOXスポーツ・フロリダ」の実況は「当然のように盗塁です」と伝えると、シンダーガードがこれで今季19回中16回も盗塁成功を許したというデータを紹介した。メジャーを席巻中の右腕は、デビューした昨年も走者に盗塁を16回試みられ、捕手が刺せたのは1度しかなかった。
その後、リアルミュートが四球を選び、二塁に進んだイチローは、更に仕掛ける。ディートリッチの打席で初球にスタートを切ると、一塁走者のリアルミュートも続いてダブルスチールに成功。マーリンズOBの解説者で、元外野手のプレストン・ウィルソン氏は、イチローの連続スチール成功の裏に、圧倒的な“野球脳”を見て取っていた。
「イチローの偉大なまでのベースボール・インテリジェンス」
「(イチローもリアルミュートも)どちらも最高のスタートです。思い出してください。ディートリッチは最初の2打席で最初のボールを振っています。前回打席は変化球にバントを試みました。ですから、シンダーガードが初球に変化球を投げる可能性が高かったわけです。イチローの偉大なまでのベースボール・インテリジェンスです。そこにリアルミュートが続いて、いい仕事をしたわけです」
元々、走者に対して隙の多いシンダーガードが初球に変化球から入る可能性をイチローはこれまでのディートリッチの打席から分析していたと指摘。メジャー屈指の剛腕はこの7回も99マイル(約159キロ)を連発していたが、ディートリッチへの初球は81マイル(約130キロ)のカーブだった。結局、この一球はストライクゾーンを大きく外してワンバウンドし、イチローは悠々セーフとなった。
結果的にディートリッチは三振に倒れ、イチローは生還できなかった。だが、2度の盗塁の裏にあったイチローの知性は、現地の解説者をうならせていた。