「HUNTER×HUNTER」33巻発売。もしも仙水さんが暗黒大陸に行ったら

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6月3日、冨樫義博のHUNTER×HUNTERの新刊本33巻が発売された。32巻が発売されたのは2012年12月28日。およそ3年と半年ぶりの刊行である。なお、収録されている話が週刊少年ジャンプに掲載されていたのは2014年の6月ごろから8月ごろまで。内容は選挙編直後、暗黒大陸編の冒頭である。


暗黒大陸。人類にとって大きな益をもたらす資源の宝庫である一方で、人間の住処に持ち込まれれば大災害を起こしうる植物、動物、現象が存在している。200年以上前に不可侵条約を定めた謎の多い大陸である。

32巻で十二支んを抜けたジンとパリストンが新組織で争い、残された十二支んは新たにメンバーを補充する。どちらの組織も暗黒大陸を目指す。

暗黒大陸の雰囲気は、冨樫義博の過去作・幽☆遊☆白書に出てくる魔界の雰囲気と似ている。魔界に憧れていた仙水さんならきっと気に入る。


人間嫌いの仙水さん


仙水さんは幽遊白書・魔界の扉編にて幽助に立ちはだかったラスボスの男。おでこにほくろがあるオールバック。7人の人格を内に秘めた多重人格である。少年だったころは人間の味方だったが、人間が妖怪を弄ぶ悪行を目の当たりにし、そこにいた人間を皆殺しにした。それ以来、人間界で魔界につながる穴を開けて人類を死滅させるために動き出すことになる。

HUNTER×HUNTERでハンター協会会長を務めていたネテロ同様、仙水さんも作中で死んでしまう。しかし、幽助に敗北したかと言われると解釈の別れるところ。
魔界の穴を開け、パワーアップした幽助と魔界で交戦。互角の戦いをしていたが、幽助が魔界の3大巨頭の一人・雷禅に体を乗っ取られ、その途端あっさり戦闘終了。

『あれはオレじゃねぇ。オレだけどオレじゃねぇんだ!』
『使いこなせなかった力を無意識の中で、マスターして戦ったってことだろう。明らかに君の放った力だ』(幽☆遊☆白書 単行本17巻p67より引用)
再戦を要求する幽助だったが、仙水さんは満足げに倒れていた。
すでに全身に癌が転移していたうえ、バトルのダメージが致命傷になった。
生まれて初めて楽しく戦えたこと。死ぬまでに魔界に来てみたかったこと。
幽助たちに本音を語り、最期を迎えた。念願を叶え、勝ち逃げに成功したともいえる。

もしも仙水さんが暗黒大陸に迷い込んだら……


『オレは花も木も虫も動物も好きなんだよ。嫌いなのは人間だけだ』(単行本16巻p110より)と話していた。暗黒大陸には仙水さんの知らない天然資源がたくさんある。
ビーズ一粒で水に沈めると一日約2万kw発電できる無人石、万病に効く香草、究極の長寿食・ニトロ米。あらゆる液体のもととなりえる三原水、錬金植物・メタリオン。
全身に転移していた癌も絶対治るし、ニトロ米を食べれば何百年も長生きすることだってできる。

『オレはね レベルを最高に上げてから敵のボスキャラに戦いを挑むんだ
敵のHPは10000くらいかな…オレは全然ダメージを受けない しかしオレの攻撃も敵の防御力が高くて100くらいずつしかHPを減らせないんだ
妙な快感を覚える反面ひどく虚しくなる』(単行本17巻p7より)

人間界に退屈し、ゲームにたくさんの時間を割いていた。作中では自らがボスキャラとなって、主人公である幽助を一度は殺害。そんな仙水さんも魔界の闘神に「あんな奴」と言われ、あっさりやられてしまった。
魔界にはそれほどまでに強い奴がいるのか…、という絶望があった。
暗黒大陸は魔界以上に強大な力で人間をねじ伏せる災厄が存在する。命を落としてしまうかもしれない。
でも、感動は未知との出会いから生まれると脳科学者の茂木健一郎が言っていた。もしも何かの間違いで作品を跨いで暗黒大陸に迷い込んでこれたなら、仙水さんもきっと楽しめる。
(山川悠)