アキラとテツオ・重力レンズが生むアインシュタインリング・生まれつつある星(画像ピックアップ35)

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1週間のあいだに拾いきれなかったニュースを集めてお伝えします。今週は「アキラとテツオの関係」「アインシュタインリング」「生まれつつある星」など宇宙の話題を中心に取り上げました。

太陽に巨大な穴



あまり知られていないかもしれませんが、太陽にも気候変動があります。NASAの太陽観測衛星Soler Dynamics Obsavatry(SDO)が映しだした太陽の紫外線光映像には、黒い大きな"Colonal Hole"が見えています。これは太陽の表面を覆うコロナがほとんどない部分が可視化されたもの。

太陽はその表面が6000度ほどですが、その上空に漂うコロナは100万度以上と非常に高温です。このため、コロナホールが発生すると紫外線やX線での映像では温度の低い太陽表面が暗く映ります。

Colonal Holeが発生する原因はわかっていませんが、この部分は太陽風の放出速度が他の部分に比べて約3倍ほどに高くなっているとされます。太陽風は地球に到達したときに地磁気と反応してオーロラを発生させる原因となります。

[Source : NASA]

青いリングをまとう赤い銀河



宇宙観測では、まれに光の輪をまとった銀河が見つかることがあります。これは実際に輪っかがそこにあるのではなく、銀河の向こうにある別の銀河の光が重力レンズ効果で押し広げられてリング上に見える"アインシュタインリング"と呼ばれる現象です。

上の画像は、スペインのInstituto de Astrofísica de Canariasの学生Margherita Bettinelliが発見した最新のアインシュタインリングで、リング状になっている青い銀河は約85億光年の彼方にある若い銀河、内側の赤い銀河は約60億光年のところにあるより成長した銀河だとされます。

重力レンズ効果は重い物体によって時空が歪んでいるところを通過するとき、その方向が曲げられる現象で、観測者と観測する銀河の背後にさらに別の銀河が一直線に並んでいる場合に、後ろ側の銀河の光がリング上に広げられて見える場合をアインシュタインリングと呼びます。この配置がずれていると、背後の銀河が細長い円弧状に見えたりします。

[Source : Monthly Notices Letters of the Royal Astronomical Society]

アキラとテツオの関係





右がAkira、左がTetsuo (イメージ図)
 

国際的な天文研究チームが、星の材料となるガスが豊富な"Akira"と呼ばれる銀河で新たな星が生まれないのは、近傍の若い銀河"Tetsuo"からのガス状物質がAkiraに流入して発生する「銀河温暖化現象」のせいだとする論文を発表しました。

Akiraでは古い星が多く赤く見えるうえ、中心にある強力なブラックホール周辺からはときおりプラズマ状の物質が撒き散らされるという性質があり"Red Geyser(赤い間欠泉)"というニックネームがつけられています。ただAkiraには、星を形成する材料となるガス状の物質が大量にあるにも関わらず、そこにある星は古いものばかりで、その原因はながく不明とされてきました。

研究チームによる観測の結果、Akiraのブラックホールの力が近くにあるTetsuoから膨大なガス状物質を吸い寄せており、ブラックホールでこれが崩壊するときに放出するプラズマエネルギーが太陽風となって放出されていることがわかりました。チームはこの太陽風がが星を形成可能な温度より高すぎるため、Akiraでは新しい星が生まれないとの結論を導きました。

ちなみに、漫画『AKIRA』では、いろいろなものを取り込んでいくのは鉄雄のほうです。

[Source : Nature]

月にある水は彗星ではなく、小惑星由来?



英米仏の研究チームがNature Communicationsに寄せた論文によると、月に存在する水が、従来思われていた彗星ではなく、小惑星から来た可能性が高いとのこと。それは地球と月が生まれたばかりの43〜45億年前、地球の表面もまだマグマが露出していたような時代、地球や月に大量に降り注いだ小天体に含まれていた水だとされます。

一般に彗星由来の水は重水素(ジュウテリウム)が多く含まれるとされ、実際月の水のうち20%未満は重水を含みます。しかし、研究チームはそれ以外の部分で水素同位元素を計った場合、ほとんど地球とおなじ比率になったとしました。

ただ問題は、月の水が小惑星の衝突によると断定するには情報が足りなすぎるということ。研究チームは、これまでアポロ計画のクルーが持ち帰った月の土壌のうち2%を調べることができたにすぎません。ただ、近い将来にはふたたび月への有人探査も計画されています。もしかするとこれまで誰も見たことのない月の裏側から、新たな発見がもたらされるかもしれません。

[Source: Nature Communications]

生まれつつある星



ESAが、X線天文衛星IRAS(1983年に運用終了)が撮影した1枚の写真を公開しました。これはIRAS 14568-6304と識別名がつけられた星で、濃いガスのなかでまさに生まれたての姿をのぞかせています。またこの画像に横たわる黒い帯はコンパス座分子雲複合体として知られ、地球から2280光年の距離で180光年の厚みをもって横たわっています。

まだこの星は形成中ですが、周囲のガスを取り込み、または超高速で放出しています。この放出したガスは、いずれ惑星として生まれ変わりいつの日か大きなひとつの惑星系に成長するかも知れません。