堅実女子のお悩みに、弁護士・柳原桑子先生が回答する本連載。今回の相談者は、美紀子さん(34歳・メーカー勤務)。

「酒豪で知られる大学の同級生と6人で飲み会をしました。私もお酒は強いのですが、本当に久しぶりの飲み会だったために、昔のペースで飲んでいたら記憶がなくなってしまいました。

普段だったら、なんとか家に帰れるのですが、その時は足腰が立たなくなってしまって。同じ方向の男友達とタクシーに乗ったそうです。でも、問題は朝、目覚めたら彼の家にいたこと。さらに服を着ていなかったんです。もちろん、なんでここにいるのか記憶もありません……。

男友達に昨晩、何があったのかを聞いたら”抵抗しなかったからOKかと思った”と言われました。私は彼とは仲のいい友達だと思っていたのに、そんな卑怯なことをされるとは、悔しいやら情けないやらで、怒りで煮えくり返っています。 

私はきちんと彼がいて、彼のことを大切にしていたのに、そんな裏切るような真似をさせた男友達を絶対に許せないので、強姦罪で訴えたいです。そのためには何をすればいいのですか?」

弁護士・ 柳原桑子先生からのアンサーは次のページに

あなたが泥酔していて抵抗が不能な状態であったことに乗じて、姦淫されたということは、準強姦罪の成立が考えられます。

まずは、姦淫行為の存在や、泥酔していたこと等の証拠確保が先決になります。

そのために、時間をおかず速やかに医者に行って診察を受けることが大切。

また、強姦罪も準強姦罪も、被害者の告訴があって初めて公訴提起できる親告罪です。医師の診察を受けたら次に、警察に行って告訴する必要があります。もっとも告訴は、ただの言い分だけで受理してもらえるものではないので、最初からあるいは途中からでも弁護士の手助けが必要になるかもしれません。

証拠保全はもちろん、本当に意思に反して姦淫されたものかどうかの信憑性が薄れないためという観点からも、事件発生から速やかに動くべきです。

判断材料のひとつとなるのは医師の診断書。すみやかに婦人科などを受診すること。望まない妊娠を防ぐことにもつながります。



■賢人のまとめ
事件発生から速やかに動くことが大切。病院に行き、自分の身の保全を確保して。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/