『沈まぬ太陽』主演の上川隆也、「役を離れればただのおっちゃんです(笑)」
『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』『大地の子』『運命の人』などを生んだ山崎豊子の代表作『沈まぬ太陽』がWOWOWでドラマ化され、話題を呼んでいます。巨大組織の中で信念を貫き生きる主人公の恩地元を演じるのは、『大地の子』でスターになった上川隆也さん。ふたたび山崎作品へ主演した上川さんの思いを伺いました。

◆特別な縁を感じた今回のオファー

――オファーを受けたときはどんなことを思われましたか?

上川:僕がこうして映像作品などにも参加させていただけるようになった大きなきっかけに、『大地の子』という作品があるんですが、それから去年でちょうど20年だったんです。今回のオファーは、その20周年と時を重ねていただくようなかたちになりました。

 また、これはおまけ的な話ですが、去年僕は50歳を迎えまして、そうした節目的な事がひとつならず重なったときにオファーをいただいて、しかも山崎さんが原作である『沈まぬ太陽』。個人的にもとてもありがたかったですし、不思議なご縁も感じました。

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――『沈まぬ太陽』は、社会派作家として人間と社会、組織を描き切った山崎さんの代表作です。改めてこの作品をどう感じていますか?

上川:山崎さんの作品は、決して一側面的なテーマでは描かれていないように思うんです。どこかに警鐘的な要素を含みつつも、一方では自戒もある。『大地の子』の筆を置いて赴かれたアフリカで題材を得られたと。その上で読み比べると、やはり描かれている目線に、何かしらの近似を感じます。二つの作品の根底には、問題提起的な部分と、同時に、人間礼讚も含まれているように思います。

――主人公の恩地とご自身は似ていますか?

上川:恩地の行動は、ほぼほぼすべて僕にはできないことです。彼の持っている正義感を内に秘めていることはできるかもしれません。しかしそれを表現したり人に示したりすることは、大きなハードルがある。でも恩地という男はやれてしまうんです。とても僕なんかではおよびもつかないなと思いますし、彼の強さを強く感じる部分でもあります。

◆アフリカロケで九死に一生!?

――アフリカロケで大自然を目の前にされていかがでしたか?

上川:幼稚かもしれませんけど、シマウマが当たり前に走っていることに驚きました。日本での生活ではシマウマはオリの中にいるという認識しか持てない。でもあれが本来の姿なんだと。“パラヂムシフト”と云いますか、僕がいままで触れ合うことができなかった体験でしたし、秘かに感動してましたね。騒いだりはせずに、秘かにですけど(笑)。

――猟銃を使うシーンもありますね。

上川:実銃を携えて、本物の象とも相対してきました。あとで現地のレンジャーの方に「お前死ぬところだったぞ」と言われまして。かなりの距離だったのだと伺いました。さらにその際、象が威嚇行動を行っていたらしいんですよ。次の瞬間に襲ってきてもおかしくない状況だったと(苦笑)。なぜ思いとどまってくれたのかわからないのですが、少なくとも象はいっときその気だった。たとえ演技であっても、僕は殺すつもりで構えていたので気がつけなかった。結果論でしかないのですが、象に理性があってよかったです。

◆普段はどこにでもいるおっちゃん

――恩地の親友で宿敵となる行天四郎役の渡部篤郎さんとの共演はいかがでしたか?

上川:初めての共演ですが、すごく“いい感じ”です。一緒にいてとても楽しい方ですね。僕とは物の見方が全く違う。そこから紡ぎだされる行天像というのがやはり興味深いんです。一瞬一瞬がとても刺激的ですね。建物は構造材が全ておなじ方向を向いていたら横からの力に耐えられませんが、様々な角度で組み上げられた建造物はいろんな角度からの応力に耐えうる。そんな構築のお芝居ができた実感がある。僕と渡部さんが違うからこそ、とても強固なものが組み上げられたと思います。

――ところで、50歳を迎えられてなお若々しい上川さんですが、若さを保つ秘訣を教えてください。

上川:褒められるようなことは何にもしていないです。僕は撮影が終わってしまうと人前に出るという意識すらも失ってしまうタイプ。どんなキャラクターをやっていても、やっているときはとても入り込んでいますし、そのキャラクターと強く寄り添ってますけれど、終わった瞬間に僕は素の“上川隆也”に戻ります。どこにでもいるおっちゃん(苦笑)。犬の散歩くらいですね、体を動かしているのは(笑)。

<TEXT&PHOTO/望月ふみ>
WOWOW開局25周年記念「連続ドラマW 『沈まぬ太陽』」は毎週日曜よる10:00放送中
連続ドラマW 『沈まぬ太陽』 オフィシャルサイ http://www.wowow.co.jp/dramaw/shizumanu/