復帰後のシーズンを、苦しい戦いを強いられながらも最後まで諦めることなく戦い抜いた浅田真央。つかの間の充電を終えたいま、来季に向けた準備が着実に進んでいるようだ。

 6月1日、浅田自身が座長を務める「THE ICE(ザ・アイス)2016」の開催発表記者懇談会が開かれた。ザ・アイスは2007年7月に世界のトップスケーターとの交流と親睦を深めるために始まったアイスショー。今年は8月5日(金)から7日(日)の3日間で3公演が、愛知県体育館で行なわれる。今回もオリンピック、世界選手権のメダリストら豪華スケーターが参加して、日本のトップスケーターたちとともに「ザ・アイスならではのパワフルなアイスショー」(浅田)を見せてくれそうだ。

「今年で10年目になるザ・アイスは毎年、世界からたくさんの選手の方たちが参加してくれます。今年の見どころは、(姉の)舞が一緒に滑ってくれるということで、2人でのペアプログラムを3曲ほど滑ること。そしてもうひとつは、自分の新しいエキシビションであるソロナンバーを初お披露目することです。名古屋の公演でしか見られないプログラムもあるので、楽しみにしてほしいです」

 これまで、シーズン開幕前のアイスショーでは、競技会用に作った新しいプログラムは披露せず、試合本番まで秘密にしていた。それを今回は、自身の思い入れがたっぷり詰まったザ・アイスのショーでお披露目するというのだ。さらに浅田はこう続けた。

「今回のアイスショーでは、まだ日にちは決まっていないんですけど、次のシーズンのショートプログラム(SP)も滑りたいなと思っています。これからのシーズンに向けて(前に)進んでいくという気持ちを込めて、少し早めのお披露目ができたらいいなと思い、そう決めました」

 新シーズンに向け、トロント(カナダ)で振付師のローリー・ニコル氏と一緒に作ったSPとフリー、エキシビションの各プログラムは、果たしてどんな曲でどんな内容になっているのか。先月半ばに、すでにエキシビションナンバーがバッハの曲と発表されていたが、この日の記者懇談会では『チェロ・スイート』という曲名が明かされた。SPとフリーについては、イメージが膨らむヒントをいくつか口にした。

「4月下旬から5月にかけてSPとフリー、エキシビションの3曲を作りました。選曲理由は、(振付師の)ローリーと、今回は(知り合いの)ピアニストの方がいらしていて、その先生と3人で相談して決めました。内容はまだ秘密ですけど、いままでにない曲、ジャンルのものなので、私自身も一つのチャレンジかなと思っています。

 エキシビションについては、物語はない曲で、音を拾いながらスケート技術を見せていくプログラムになっています。すごく速いテンポ、リズムなので、意外と大変なプログラムになっているので、これも一つのトレーニングだと思って練習しています。スケートを愛する気持ちやいろいろな思いがそこに詰まっているので、そういうところが観ている方に伝わればいいと思います。

 SPとフリーについては、合わせて1つのプログラムになっていて、いままでにないジャンルの曲です。私自身、ものすごく楽しみですし、ザ・アイスでSPもエキシビションナンバーも初お披露目ということで、気持ちはショーに向かっているので、うまく滑れるように練習していきたいです。ジャンプ構成についてはまだ決まっていません」

 3度目の五輪となる2018年平昌五輪を視野に入れて、来季は正念場のシーズンとなる。再び五輪でメダルを狙うためには、五輪プレシーズンでの活躍は必要不可欠になるからだ。

 カギを握るのは、浅田の代名詞であるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)や連続3回転ジャンプといった高難度ジャンプの完成度になるだろう。現世界女王のエフゲニア・メデベージェワ(ロシア)、全日本女王の宮原知子ら10代後半の若手スケーターとの勝負に勝つためには、相当の覚悟が必要になるに違いない。

「復帰シーズンを終えてみて、スケートに対する気持ちはもっともっと向上していると思いますし、昨シーズンに得た課題もたくさんあるので、それをクリアにしていくことがいまの目標だと思っています。これまでの10年で、すべてにおいて成長していると思いますし、1年1年進化していかなければいけないと思っています。さらに進化した滑りができるようにしていきたいです」

 やる気モードに入った浅田真央が、いよいよ本格始動する。

辛仁夏●文 text by Synn Yinha