節目の50得点まであとふたつ。ゴールへの強い欲を見せる岡崎は、今回のキリンカップ中に大台に乗せることができるか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 代表通算100試合に出場している岡崎慎司の得点数は48。節目の50得点まであと2ゴールで、今回のキリンカップ中に到達する可能性は十分にある。
 
 岡崎自身、以前はあまり記録にはこだわっていなかったという。しかし、どうやら心境の変化があったようだ。
 
「アジアの相手ではなく、ヨーロッパの相手からもまだまだ点を取りたい。多くのゴールを決めて、自分がこの日本代表にいたという記録を残したいんです。そういう姿を、若い選手たちにも見せたいと思う」
 
 ひとつでも多く点を取ることにこだわる。では、そのためにはなにが重要なってくるのか。24ゴールを決め、レスターのプレミア初優勝に貢献したチームメイトのジェイミー・ヴァーディを間近で見ていて、岡崎も感じるものがあったようだ。
 
「自分の世界に入ったもん勝ち」
 
 そもそもヴァーディはシュートが上手い選手だが、ただその高い技術を試合でも発揮できるのは、「自分の世界に入っているから」と岡崎は分析する。
 
「大事な場面でも自分の世界に入っているから、“これを外したらヤバい”とか、そういうのは多分、頭をよぎらないというか。それぐらい自分の仕事に集中しなければならないし、ということは、いわゆるエゴイストと言われても、しょうがないポジションだと思う」
 
 レスターでの岡崎は、もちろんゴールへの強い意識を見せていたが、前線からの献身的な守備も評価されて、レギュラーの座を掴んでいた。しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「日本代表ではまったく別の役割があります」と語る。その役割とは、レスターでのヴァーディのようにゴールを奪いまくることだ。
 
「少なからず、自分が代表にいる時は、みんながボールを集めてくれる。その立場になった時に、決めなければいけないという責任が出てくる。そこで点を取れずに、悔しい想いを何度もしてきた。いつでも試合に出たら点を取る準備をしたいし、次の試合ももちろん、ゴールを目指したい」
 
 CFのライバルには、金崎夢生や浅野拓磨がいる。たったひとつのポジションを巡り、熾烈なポジション争いを覚悟しつつ、「自分も譲るつもりはない」とプライドをのぞかせた。
 
 初戦で対戦するブルガリアをはじめ、デンマークやボスニア・ヘルツェゴビナも、EUROの出場権を逃したとはいえ、簡単に勝てる相手ではない。岡崎もブルガリアに対しては「難しい相手」と見ている一方で、「ただ、勝ちたい。勝つことで、自分たちが世界でもまだまだやれることを発信していかなければいけない」と勝利への強い意欲を口にする。
 
 日本のホームゲームである以上、「どこが相手だろうと負けてはいけないと思っている」。そして「点も取りたい」。
 
 今年4月には30歳となった。ベテランと呼ばれてもおかしくない年齢だが、代表通算得点では岡崎の上を行く55得点を決め、49歳となった今も現役を続けている三浦知良に比べれば、「通過点というか、30歳はまだまだ若造」と考えている。
 
 キャリアを重ねるにつれて、貪欲さはさらに増してきている印象だ。守備の役割を期待されていたレスターでは、それがピッチに立つために必要なことだったとしても、ストライカーとしてはどこかで窮屈さを感じていたのかもしれない。
 
 そのタスクから解放された岡崎が、どこまで自分の“ゾーン”に入ることができるか。
 
「FWとしては、自分は前で張っていたい」
 
 ガムシャラにディフェンスに奔走するよりも、ゴールネットを揺らすことだけを考え、プレーする岡崎の“エゴイスティックな姿”を期待したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)