「生命保険いらない」本 その指摘は果たして的を射ているのか

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「生命保険はいらない」は本当か?

巷でよく見る「生命保険いらない」指南本。
生命保険以外にも将来のリスクに備える手段は多々あり、過剰な保障は不要ですが、「生命保険は不要」とまで言えるのか。
個人の家計相談業務を展開するFPが解説します。

家計の見直しにおいて、重要となるのは固定費。
マイナス金利適用後、住宅ローンの借換えを検討する方が急増。
4月からの電力小売り自由化により、少しでも電気代を安くするために、電力会社の切替えも相当数あるようです。
その他、大きな割合を占めるのが「生命保険」の保険料であり、家計の見直しでは、真っ先に検討されることが多いようです。

「生命保険は不要」等と煽るような指摘する書籍も多くありますが、
「生命保険に加入する前にやることがあります」というのが正しい指摘といえます。

筆者は、お客様の生命保険のご相談において、以下のステップに沿ってご提案しています。

第1ステップ リスクを回避する、リスクを軽減するため意識、行動、習慣を見直す
第2ステップ 公的支援、公的制度を理解する
第3ステップ 企業の福利厚生制度を理解する
第4ステップ 収入、貯蓄で手当てできないかを検討する
第5ステップ 生命保険で手当てする

以上のステップのうち、第2ステップ以降について解説します。


公的制度を理解する

死亡保障を例に挙げると、国民年金や厚生年金の遺族年金制度があります。
子が高校卒業するまで遺族基礎年金が支給されますし、会社員等が死亡すると在職期間や給与に応じた遺族厚生年金が支給されます。

正確には公的制度ではありませんが、住宅ローンの利用者の多くは、団体信用生命保険に加入しており、住宅ローン返済者が死亡した場合、保険金で住宅ローンは完済されます。

病気やケガの治療については、健康保険や国民健康保険では高額療養費制度があり、
保険適用される治療費は所得に応じた自己負担限度額が定められています。
健康保険の被保険者であれば、療養中の生活保障として「傷病手当金」も支給されます。

これらの部分は、生命保険や医療保険等で手当てする必要はありません。


企業の福利厚生制度を理解する

会社員や公務員が在職中に死亡した場合、死亡退職金や弔慰金が支給されますし、病気やケガにより入院等した場合には、共済会、労働組合、健康保険組合の福利厚生制度で大きな保障が準備されている場合もあります。
また、企業で団体保険に加入できれば、個人契約よりも割安な保険料で必要な保障を手当てできます。

これらの部分も、生命保険や医療保険等で手当てする必要はありません。


収入・貯蓄で手当てできないかを検討する

家族が死亡した後、生活費等を遺族の給与や家賃収入で手当てしようと考えていれば、その部分の生命保険は必要ありませんし、
病気やけがの治療費について、貯蓄の取り崩しで対応しようと考える人にとっては、医療保険やガン保険の優先順位は低くなります。


それでも足りない部分を生命保険で手当てする

公的制度、企業の福利厚生を理解し、不足する部分を「収入」や「貯蓄」で手当てしようと考えても「収入や貯蓄で全額手当てできるか不安」な場合があります。
このような場合に、生命保険や医療保険等の検討が効果的です。

例えば、
・死亡保障について、教育費は遺族基礎年金や貯蓄で手当て。生活費は生命保険で手当て。
・医療費について、保険適用部分は貯蓄の取崩しで手当て、ベッド代・食事代は医療保険等で手当て
のように、複数の財源を使い分けることで、生命保険料の負担も抑えられますし、必要な保障も確保することができます。

「生命保険」は家族の生活の安定を守る手段です。
家族の経済状態や優先順位に応じて、生命保険と上手につきあっていくためにも、公的保障や企業保障を理解し、
収入、貯蓄、保険、という3つの財源を活用した備えを検討してください。


【益山 真一:ファイナンシャルプランナー】


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