連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第9週「常子、初任給をもらう」第51話 6月1日(水)放送より。 
脚本:西田征史 演出:松園武大


常子(高畑充希)、がっくり。
雑用係扱いで気落ちしながら帰宅すると、清(大野拓朗)が現れる。
いつもの自慢がはじまると思ったら、自慢しない。あれ。。。
で、主題歌。
将棋を差しているピエールと鶴太郎に聞くと、今、清は仕事が乗りに乗っているから、小さな自慢をする必要がないのだと教えられる。
ピエール瀧と片岡鶴太郎にコントのひとつも用意せず、ただ将棋し、清の説明をさせる脚本、贅沢だ。ふたりの存在感だけで保つという信頼感だろう。「とと姉ちゃん」の良さのひとつは、気ぜわしくないことだ。
さて。清にとっては良かったことだが、常子にとっては、唯一の優越感を抱ける相手がいなくなってしまった。
あの清すら仕事が乗りに乗っているというのに、自分は・・・という感じだろう。
ついには常子自身が「褒められ過ぎて・・・」なんて清みたいなことを言ってしまう。

一人になった瞬間暗い顔になる高畑充希、うまい。
家では主役然と、みんなに囲まれ心配される常子だが、会社ではいじめられっ子。で、また資料整理を頼まれて引き受けてしまう。
早乙女(真野恵里菜 )は「今まで必死に守ってきた私たちの誇りも小橋さんのせいで台無しです」と激怒。
ついに、課長(田口浩正)に申告し、「手書きによる資料の作成」「他部署からの業務以来を受けること」を禁止にしてしまう。
早乙女はとにかく意地を張っている。男性社員による「文法がでたらめな文章」「内容に整合性もない文章」を勝手に直してタイプを打ったり、苗字で呼んで、「おい」や「君」をやめてと主張する。
道理ではあるのだ。問題に毅然と立ち向かっているとは尊敬に値する・・・でも、ちょっとやり過ぎだよね。
常子に仕事をやらせてあげてもいいじゃん。
きっつい顔の早乙女をじっと見つめる常子。その時の常子の気持ちのナレーションはない。
ただ、その後、清子(大地真央)に相談にのってほしいと頼むだけ。けっこうすぐに言葉にしてしまいがちな「とと姉ちゃん」が珍しく余韻をもって次回へ・・・。

「文法がでたらめな文章」「内容に整合性もない文章」を勝手に直してタイプを打ち、怒るなら「正しい文章を」とぴしゃりと言う真野ちゃんに、全国の文筆業に携わる者たちは深く頷いたに違いない。餅は餅屋で、専門家に任せたらいいのに任せられない人ってどこの業界にもいる。
(木俣冬)