専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第57回

 最近、別媒体の企画でショートコースをラウンドしているのですが、これが結構面白くって。

 まともな話からさせてもらうと、よく行くコースは9ホール(すべてパー3)あって、1ホールの距離は60〜150ヤードくらいです。使うクラブは、ほとんどアイアンですね。しかも7番以下で、毎回1オン狙いとなります。

 すると、「ショートアイアンばっかじゃ、つまらない」という方もいるでしょう。ところが、実際は違います。1回でグリーンに乗せるように造っているので、各ホールのレイアウトが戦略的なのです。

 谷越え、池越えは当たり前。極端なものだと、ショートホールなのにピンが見えない、ブラインドコースになっているホールもあります。でかい木が邪魔をして、フックをかけないと乗りませんってな感じです。

 このホールを最初に見たとき、大きな木を伐採もしないで「手抜きか!」と思ったのですが、実は難易度を高めるために、わざわざ樹木を生やしていたのです。

 他にも、グリーン手前の樹木が横にせり出していて、普通にグリーンを狙って打ったら、絶対に木にぶつかってしまうレイアウトもあります。ここでは、低い球を打って、転がしで攻めるしかないですね。

 とまあ、一部のショートコースは、こってりなレイアウトで人気を博しています。

 ただし、問題も続発しています。実際にプレーする人たちは、ほとんどが練習を兼ねてラウンドしているため、"2度打ち"や、グリーン上で何度もパターを繰り返す"居座りパット"が日常茶飯事化しているのです。

 ここからは、そんなショートコースで起こった"事件"を紹介したいと思います。しかも、今年あった新鮮な話です。

 とある日のこと、某ショートコースに行くや、「今日も2回打っている人がいるなぁ......やれやれ」と思って、マナー無視の行為を温かい目で見ておりました。

 その後、何ホールか終えて、インターバルの長い次のホールに向かうと、さっきまで見かけなかった熟年の夫婦が突然目の前に現れたのです。しかも、オバちゃんが3回もティーショットを打っているではないですか!?

 なんで急にその人たちが現れたのかというと、たぶんどっかのホールから横入りしてきたのでしょう。ホール間のインターバルがあって、ちょうど空いていたので「ここで打っちゃえ」となったようです。

 まあ、横入りはいいとして、オバちゃんが3回目を打ったときには、思わず声を発してしまいました。

「そんなに何回も打っていいんですか?」

 こちらとしてはやんわりと言ったつもりでしたが、それに対して、オジさんのほうが逆ギレ気味にこう言い返してきました。

「ウチらは2回ずつ打っていて、ワシの1回分を女房に打たしてやっているんだ!」と。

 そんな、わけのわからぬことを言うので、「そんなの知りませんよ。とにかく、何回も打たないでください」と注意すると、熟年夫婦はしぶしぶ了承して、そそくさと歩き出していきました。

 これで一件落着かと思ったら、次のホールのティーグラウンドでまた、その熟年夫婦に遭遇。今度はあっちから、「このコースは渋滞が多いから、みんな待っている間に何回か打っているんだ。それのどこがいけないんだ!」と言って威嚇してきたのです。

 いやいや......、「みんなが何回も打つから、渋滞するんじゃないですか。マスター室で聞いてみたらどうですか」と言うと、こう反論してきました。

「ここは練習するコースなんだから、細かいこと言わんでいいんじゃないの」と。

 もう、両者の言い分は平行線をたどるたけ。仕方なく、こっちはもうラウンドも終わりに近づいていたので、あとは熟年夫婦の2〜3度打ちを静観しながら、プレーを終了しました。

 さて、いったいこの"事件"、どこに問題があったのでしょうか。

 いろいろありますが、ショートコースでは何回も打って練習したほうがいい、という考えには実は賛成です。でもそれは、コース側が認めた場合であって、今回のようにコースが認めていない場合は、本来は1度きりのプレーで進行するべきでしょう。その認識の差に問題が生じるんでしょうね。

 ただ実際問題、コース側は"2度打ち"チェックをするための巡回などはしていません。つまり、"2度打ち"に関しては黙認しているフシがあります。たぶん、そうしないとお客さんが来ないからでしょう。

 それに、"2度打ち"だらけのお客さんの中に、1組だけ通常のラウンドをするお客さんが混じると、その組は時間が余って仕方がない。所在ないから、そういう組も「じゃあ、ウチらも"2度打ち"しよう」となるわけです。結果、ますますコースは渋滞し、際限なくなります。

 ならば、いっそ"2度打ち"OKというコースにしてはどうでしょうか。そうしたら、マナーに関してのトラブルもなく、渋滞が起きても誰も文句は言いません。

 ちなみに、栃木県の某コースでは、27ホールだったのを18ホールに縮小して、余った9ホールから別扱いのコースを3ホール設置。そこは、練習コースみたいなくくりにして、何度でも打てるようにしています。

 とにかく、そろそろショートコースは、ラウンドルールやマナーの改革をするべき時期にきているかもしれません。

 まあ現状は、「串カツのソースづけとゴルフのショットは、2回やっちゃダメ」と、そんなところだと思いますけどね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa