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半導体市場調査企業の米IC Insightsは5月31日(米国時間)、2015年の世界アナログIC市場の分析結果と企業売上高トップ10を発表した。

2015年の世界アナログ半導体市場は、前年比2%拡大し470億ドルに達し、このうち、一般用途のアナログ製品(アンプ/コンパレ―タ、インタフェース、電源管理、信号変換デバイス)は同2%増となる191億ドル、特殊用途アナログ製品も同2%増の279億ドルだった。また、アナログIC製品のうちで最大の伸びとなる同14%を示したのが信号変換デバイスで、市場規模は29億ドルに達したという。

同社が調査した2015年におけるアナログICサプライヤのトップ10を下に示す。この10社だけでグローバルなアナログ半導体の売上高のうち56%を占めているが、2014年の57%からはわずかに低下している。また、10社のうち9社が売上高10億ドルを超えており、上位5社は20億ドルを超す売上高を記録している。

○TIが他社を大きく引き離しトップ独走体制

長年にわたってトップの地位に君臨してきた米Texas Instruments(TI)は、2015年も余裕でその地位を守った。売上高も前年比3%増となる83億ドル、マーケットシェアも18%と、2位のInfineon Technologies、3位のSkyworks Solutions、そして4位のAnalog Devices(ADI) 3社の売上高総額よりも多い。

ちなみにTIのアナログIC売上高は、同社の半導体売上高総額の69%を占めている。これまでも同社はアナログICで強みを見せてきていたが、2009年以降、長期的視点から、リスク覚悟で莫大な投資を行い、独走体制を敷いている。その投資の1つに300mmウェハでのアナログIC製造の開始がある。経営破たんしたDRAMメーカーQimondaの北米工場から300mmウェハ対応の製造装置を格安で調達し、テキサスに保有する自社の既存の300mmウェハ工場「RFAB」に運び入れる形で製造を開始した。その後、2010年にさらに同社は同じく経営破たんしたSpansionの会津若松工場(200/300mmライン。300mmの製造装置はテキサスへ移管)、ならびに中国Cension Semiconductor ManufacturingのChengdu(成都)工場(200mmライン)を買収し、アナログIC工場へと転換したほか、2011年には競合であったNational Semiconductor(NS)を65億ドルで買収している。

また、RFABに加えて、「DMOS 6」ファブも300mm対応に模様替えし、アナログIC工場として操業しており、アナログICの生産キャパシティを増やすだけではなく、300mmウェハを採用することで、(200mm以下の小口径ウェハを用いる競合他社に比べて)製造コストを低減している。TIの話では、コストを4割カットできていると言う。

○InfineonとSkyworksが順位を上げ、STが下げる

2位以下の企業としては、Infineonが昨年から順位を1つ上げて2位になったほか、Skyworksも順位を2つあげて3位へと上がってきた。一方、STMicroelectronicsは前年比マイナス13%と売上高の減少で前年の2位から5位へと転落することとなった。これは同社の主要顧客の最終製品(コンピュータ、コンシューマ、車載、産業向け)の売り上げが芳しくなかったためである。

またSkyworksは、世界中の複数のスマートフォンメーカーから設計の注文がとれたため、売り上げを伸ばしたとのことで、アナログICおよびミクスドシグナル製品をAppleやSamsung Electronicsなども活用。AppleのiPhone 6sなどの中にも同社のパワーアンプ部品をいくつも見いだすことができ、IC InsightsではiPhone 6一台当たり4ドル分の部品が搭載されているとの推測をしている。

近年Skywokrksは今まで焦点を絞ってきたモバイル市場に加え、車載、家庭、ウェアラブル市場に参入しIoTにリンクした応用分野で存在感を出そうとしている。オーディオアンプ、オペアンプ、アナログスイッチなどのアナログICがそろえば、ウェアラブル向けビルディングブロックが構成できる。同社の無線技術はGeneral Electricのヘルスケア機器に採用されているほか、高性能フィルタをパナソニックが採用することが最近決まった模様だ。

○2016年のアナログIC市場は4%成長と予測

IC Insightsは、2016年のアナログIC市場は4%成長し、491億ドルに達し、2017年には待望の500億ドルラインを突破すると予測している。また、2015年から2000年までのアナログIC市場の年平均成長率は6%と予測しているが、これは同時期のIC全体の年平均成長率より1%高いものとなっている。

(服部毅)