沖縄在住アメリカ人による懺悔が話題に(※写真はイメージです)

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 沖縄県うるま市の会社員・島袋里奈さん(20)の死体遺棄事件について、シンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)が黙秘を続けている中、5月28日、29日にわたって北谷町の国道沿いで米軍関係者と思われるアメリカ人が「沖縄と共に悲しんでいます」などと書いたプラカードをもって頭を下げる活動を展開した。

■アメリカ人のプラカード懺悔がネット上で拡散

 4月28日に行方不明になり、5月12日から沖縄県警による公開捜査がスタート。5月19日に米軍所属のシンザト容疑者が殺人および死体遺棄などの容疑で逮捕され、同容疑者の供述をもとに遺体を発見。20日には遺族関係者が「残念でなりません」と沈痛な思いを吐露した。

 今回ネット上で話題になっているのは5月28日、29日に行なわれた沖縄県在住のアメリカ人らの活動について。日本語で「沖縄と共に悲しんでいます」「沖縄のためにお祈りしています」と記したプラカードを手に、北谷町の国道58号線沿いで頭を下げ続けた。『琉球新報』(琉球新報社)によると、今回の活動は同県北中城村屋宜原の教会「ネイバーフッドチャーチ沖縄」のクリスチャン・シアンコ牧師の呼びかけによるもので、最終的には100人規模になったという。

 この活動が広く拡散したきっかけがSNSだ。58号線を通ったネットユーザーが活動の模様の写真付きで「ホテル出て58号線に入ったら炎天下の中アメリカ人が頭下げて来た。胸が痛みますな。いい人もたくさんいるのに」とツイート。5万5千件以上のリツイートを記録するなど大反響となった。中には「なぜマスコミは(この活動を)報道しないんだ」と荒ぶる声も出ている。

「考えられる理由の一つは伊勢志摩サミット。ちょうどオバマ大統領が来日していた時期で、おまけに広島訪問という歴史的な出来事があり、日本の増税延期も決定しました。ですから各社の紙面でサミット関連のニュースが優先されていた節はあります。また政治・経済系の記者はサミット関連の取材に追われていました。記者の数は有限ですが、スマホユーザーは無限に近いです。情報スピードでSNSに勝てず、後追い報道になるケースはこの先いくらでも出てくるでしょう」(報道関係者)

 事件の究明はまだ続いている。5月31日には、沖縄県警が島袋さんのスマートフォンの位置情報などをたよりに、うるま市周辺で凶器等の大規模捜索がスタートした。各メディアが一斉にその模様を報道している。

 一方、上記プラカード活動については、メディアごとに報道量や方針にバラつきがあるとはいえ、ネット上の盛り上がりとは裏腹に取り上げる新聞社やニュース番組は一部に限られ、報道がイマイチ広がっていない印象すらある。

「在日米軍や基地の問題はセンシティブな状況が長年続いています。国会記者会館に出入りするメディアは、永田町のご機嫌をうかがいつつ、それぞれ難しい判断を迫られるところではないでしょうか。下手に国民感情を刺激するより警察発信の事実報道に徹するほうが無難、という思惑も見え隠れします」(前出・関係者)

 シチュエーションは異なるが、現在“ホット”な話題である舛添要一都知事(67)の公金横領疑惑に関連して、都庁記者クラブの体質についてこんな指摘もある。

新聞社は記者室という場所を提供され、権力内部へと丁重に招き入れられた結果、原価無料の仕入れ(情報)を直売り(報道)と迂回商品(各種事業)で儲けられる夢のようなビジネスモデルに浸かり込んでしまい、本来の役目である『監視』を二の次にしてしまったかに見える。筆者の記憶をさかのぼるだけでも、記者クラブの弊害が問題視されてすでに40年は経過しているが、積み重なる馴れ合いが『軋轢(あつれき)』を撥(は)ね退ける力を削ぎ、タダで情報をくれる相手との摩擦を生むスキャンダル取材は損だと判断され、タンスにしまい込まれてしまったようだ

(PRESIDENT Online「なぜ都庁記者クラブの記者たちは『舛添都知事』の悪事に気づかなかったのか」より抜粋)

 “ビジネスモデル”としては永田町も近い。「国政の情報」という常に廃れない高価商品が仕入れられる美味しい環境を与えられれば、その状況をつかんで離したくないと考えるのが自然な欲望だろうか。

文・橘カイト(たちばな・かいと)※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。