4月27日になでしこジャパンの指揮官に就任した高倉麻子監督。リオ五輪出場を逃したチームの再建を託された。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 高倉麻子監督を迎えた“新生なでしこジャパン”が、6月2日(日本時間6月3日[金]10:30キックオフ)のアメリカ戦で、いよいよ初陣を迎える。
 
 6月2日、5日にそれぞれアメリカと対戦するなでしこジャパンは、5月30日に渡米。今回のメンバーには宮間あや、川澄奈穂美ら経験豊富な選手が入らず(宮間はコンディションを考慮しての辞退)、現地での2日間の練習のみで試合に臨むとあって、苦戦が予想される。ただ、チームにとって貴重な経験の場となることは間違いない。
 
 そんななか、日本代表のトップカテゴリーで初の女性指揮官となったのが高倉監督である。2014年にはアンダーカテゴリーとはいえ、U-17女子ワールドカップで日本を優勝に導き、二度目の“世界一”の称号をもたらした。その手腕には大きな期待がかかる。
 
 一方なでしこジャパンは、今年2月、3月に大阪で開催されたリオ五輪アジア最終予選で敗退し、本大会出場を逃している。今後の舵取り次第では、女子サッカーの先細りが懸念される。そんな苦しい状況で未来を託されたのが、高倉監督だった。
 
「後輩が大きな花を咲かせてくれたので、バトンが戻ってきたら受けようと考えていた」
 
 就任会見で語った“後輩”とは、2011年のドイツ・女子ワールドカップで優勝、2012年のロンドン五輪で銀メダル、2015年のカナダ・女子ワールドカップで準優勝と、輝かしい結果を残してきた選手たちとその周辺を指す言葉だろう。
 
 高倉監督は現役時代、15歳でフル代表に初選出され、ワールドカップに2回、五輪に1回出場。国際Aマッチ79試合に出場し、30得点をマークした。クラブレベルでは、ベレーザやシリコンバレー・レッドデビルズ(アメリカ)などでプレーし、日本女子サッカーリーグでは2度の最優秀選手賞を受賞した。
 
 指導者としては、2004年の現役引退から3年後の2007年にJFAナショナルトレセンコーチ(女子)となり、U-16〜20、23の日本女子代表監督を歴任し、U-16、U-19アジア女子選手権で優勝。前述したとおり、2014年にはコスタリカでのU-17女子ワールドカップで世界一に輝き、2012年から4年連続でAFC年間最優秀コーチ賞(女子)を受賞している。
 
 現役時代に日の丸を背負い、指導者としても女子サッカーに貢献してきた高倉監督のもとに、なでしこの復権を懸けた重みのあるバトンが回ってきたのは、必然なのかもしれない。
 
 2013年のU-16日本女子代表監督就任時から取材する筆者が高倉監督に感じるのは、周囲からの評判が非常に良いということだ。メディアの一人ひとりに常に笑顔で接する気さくな性格で、よくジョークも言って、メディア対応の場を和ませる。
 
 ある選手が「憧れの存在」と言えば、ある選手は「カッコいい」と語り、「最高の指導者」とも話す。高倉監督は女性ならではの気付きと、自身の経験をもとに、敏感な年頃の選手とどう接すればいいのかを理解しているのだろう。
 
 それはU-16代表監督時代から、二人三脚で指導を行なってきた大部由美コーチも同様だ。高倉監督が主に攻撃面、大部コーチが主に守備面を指導するのだが、ふたりは実際に選手の前でプレーをし、『明日の試合で使える』的確で具体的な指示を伝える。
 
 今回のなでしこジャパンのコーチングスタッフに盟友の大部コーチが入ったことは、高倉監督にとって非常に心強いことだろう。
 
 高倉監督は特定の選手にこだわらず、大胆な采配を振る面も持ち合わせる。
 
 去年8月、U-19アジア女子選手権(中国・南京)を戦った高倉監督は、決勝戦の前日練習で、それまで主力とは言えなかったDF松原志歩(C大阪堺L)、DF宮川麻都(当時メニーナ/現ベレーザ)を主力組で起用し、実際に決勝戦に先発させた。