頭痛の急性期の鎮痛薬とは?(shutterstock.com)

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 今回は頭痛の機序と急性期の鎮痛薬についてお話ししたいと思います。頭痛も疼痛(痛み)の一種であると考えられます。疼痛はアメリカ疼痛学会で次のように定義されています――。痛みは「生体の警告系」として重要な役割であるが鎮痛処置が必要である。

 そこで頭痛のための鎮痛薬のなかで、ドラッグストアで買うことが多い「アセトアミノフェン」と「非ステロイド系抗炎症薬」について取り上げてみましょう。

「ノーシン」や「新セデス」などのアセトアミノフェン

 アセトアミノフェンは、小児や妊婦などにおいても安全に使用できる消炎鎮痛薬として有名です。作用機序は、視床下部の体温中枢に作用し、体水分の移動と末梢血管の拡張作用を持つことが知られています。現在はアセトアミノフェンとして1回300〜1000mg、最大1日4000mg (医療用)まで使用可能になりました。

 現在、ドラックストアで販売されている市販薬の頭痛薬の多くは、安全性を考えてアセトアミノフェンにエテンザミドとカフェインを加えたACE(エーシーイー)処方という組み合わせが有名です。この組み合わせの薬剤は、ノーシンや新セデスなどの名前でドラックストアで発売されています(ただし、ACE薬はエテンザミドとカフェインが配合されているため小児や妊婦には注意が必要です)。

 では、アセトアミノフェンはどこに作用して鎮痛効果を示すのでしょうか。現在の医学では、アセトアミノフェンは、脳の中枢神経に作用することが知られています。その場所は図1に示したように、視床下部の体温中枢に作用し、解熱作用を示したり、同じく中枢性に作用して体水分の移動と末梢血管の拡張作用を有しています。視床下部は間脳と呼ばれる脳組織の一部で、体温中枢の機能以外にも飲水行動や摂食行動を制御したり、多数のホルモンを分泌する器官として知られています。
「バファリン」や「イブ」「ロキソニン」などの非ステロイド系抗炎症薬

 非ステロイド系抗炎症薬(NSADIs )のグループには、アスピリン(バファリンなど)、イブプロフェン(イブなど)、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)などがあり、みなさんもよくご存知のタイプの薬剤と思います。

 ドラックストアにある頭痛市販薬は数多くの種類があるので、患者さんは自分にあった市販薬の薬剤成分と自分に効果のない市販薬の薬剤成分を比べることで自分に効果のある成分がわかると思います。ぜひ一度確認してみて下さい。

 では、NSADIsと呼ばれるグループはどこに作用して鎮痛効果を示すのでしょうか。現在、NSADIsと呼ばれるグループは図1に示すように、末梢神経から中枢神経へ行く経路に作用して鎮痛効果を発揮することが知られています。

 まず、脳の頭蓋骨の下にある硬膜(脳を守っている髄膜のうち一番外にある膜)の末梢血管や末梢神経で炎症が起こると、アラキドン酸という物質が遊離し、上昇を来たします。それがシクロオキゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素を介してプロスタグランジンを活性化します。

 この活性化されたプロスタグランジンは、炎症や浮腫を増悪させるため、この経路のCOXを抑制する薬物としてNSADIsが開発されてきました。またステロイドはこのアラキドン酸カスケードの一番初めの所に作用することが知られています。よって、アセトアミノフェンとNSADIsを併用して配合する市販薬は、作用機序の面から考えても効果のあることがわかります。

 ただし、注意が必要なのは、COXにはCOX1とCOX2の2種類が知られていますが、COX1の重要な作用として胃粘膜保護作用や腎機能保護作用があります(図2参照)。NSADIsはこのCOX1の重要な作用も抑制するので、しばしば消化管出血や、胃潰瘍を起こしたり、腎機能障害を来したりする副作用が問題となることがあります。これらの副作用に悩む患者さんには、その副作用を克服する目的で近年COX2だけを選択的に抑制するNSADIsとしてセレコキシブが使用されることが多くなっています。

 最後に、片頭痛急性期治療薬の主役であるトリプタンは、どこに作用しているのでしょうか。トリプタンについては、次回に詳しく説明したいと思います。今回は、鎮痛薬の作用機序について簡単に説明しました。みなさんも普段使っている頭痛薬の作用と副作用について、知っておく事は重要なことです。

●参考文献:慢性頭痛の診療ガイドライン〈2013〉日本頭痛学会監修


西郷和真(さいごう・かずまさ)
1992年近畿大学医学部卒業。近畿大学附属病院、国立呉病院(現国立呉医療センター)、国立精神神経センター神経研究所、米国ユタ大学博士研究員(臨床遺伝学を研究)、ハワードヒューズ医学財団リサーチアソシエイトなどを経て、2003年より近畿大学神経内科学講師および大学院総合理工学研究科講師(兼任)。2015年より近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授、近畿大学医学部附属病院神経内科。
東日本大震災後には、東北大学地域支援部門・非常勤講師として公立南三陸診療所での震災支援勤務も経験、2014年より現職。
日本認知症学会(専門医、指導医)、日本人類遺伝学会(臨床遺伝専門医、指導医)、日本神経学会(神経内科専門医、指導医)、日本頭痛学会(頭痛専門医、指導医、評議員)、日本抗加齢学会(抗加齢専門医)など幅広く活躍する。