5月1日、上海在住の塚本博信氏が河南省にある太極拳発祥の地・河南省温県陳家溝で、陳氏太極拳の外国人としての最古参に当たる地位を与えられた。

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2016年5月1日、日本人の太極拳指導者が、中国河南省にある太極拳発祥の地・陳家溝で、陳氏太極拳の伝人(伝承者)として門人儀式に参加し、中国国内や日本へ向けてその地位を発信することが正式に認められた。外国人としては最古参に当たる第11代伝人の地位を務めるのは、上海在住の日本人指導者、塚本博信氏だ。

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陳家溝は河南省の古都・洛陽市から南西に70キロほどに位置する農村で、この地で初代陳王延(1600〜1680年)により太極拳が生み出され、楊式、呉式など分派が派生し、また後には健康体操として二十四式などが制定された。外国人が伝統武術である陳氏太極拳の開祖より11代目に当たる正統継承者としてその中心に立ち、中国武術の伝統的な儀式へ参加することは極めて異例で、話題となっている。

塚本氏は1972年生まれの神奈川県出身。学生時代は空手等の日本武術を学び、2000年に胃がんを患い、胃の5分の4を切除。体力面でこれら武術の継続が困難な折に、河南省洛陽で師となる鄭旭東氏との知遇を得て伝統派の陳氏太極拳に出会い、その指導の元で修練を積むとともに身体の健康を回復。上海に拠点を移した現在は、太極拳、太極槍、養生に精通した伝人として、上海を中心に日本にも支部を置き活動する陳氏太極拳養芯会の指導に当たっている。

世界的にも有名な名人たちと肩を並べる地位に就くことになった同氏は、今回の儀式に当たり「さまざまな縁と機会を通じ第11代伝人を授けていただけることになりました。外国人の伝人として最も古い地位でもあり、光栄に感じるとともにとても緊張する思いです。この『拝師の儀』に参加するということは、当会の活動が陳氏太極拳の正流として認められ、さまざまな責任を受け継ぐ立場になったということで、一同気持ちを新たにしました」と、コメントしている。

風水師立ち会いの元に古式にのっとり行われた「拝師の儀」へは同氏のみならず、同氏が指導する養芯会から日本人生徒が約15人、同会の上位団体にあたる鄭旭東一門と併せ総勢20人余りが参加した。この儀式を通じて伝統文化を継承する立場となった同会は、太極拳を中心に伝統文化を通じて日中の架け橋となるよう活動の幅を広げている。(取材・執筆/KT)