ワンコにおやつを上げる時は気をつけて

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ガム、クッキー、キャンディー......。最近、ダイエットブームを反映し砂糖の代わりにキシリトールを入れる食品が増えているが、犬がキシリトールを食べると死ぬ危険があると、2016年5月12日、米食品医薬品局(FDA)が警告を発した。

米では年間数千匹の犬がキシリトール入りのお菓子などを食べて重症になり、中には命を落とす例が少なくない。日本でも以前から獣医らが注意を呼びかけてはいるが、一般にはあまり知られていない。

人間には甘いお菓子が犬には「致命的な毒」に

キシリトールは、白樺や樫の木からとれる天然素材の甘味料で、イチゴやブドウなどの果物にも含まれる。砂糖と同じ甘さだが、カロリーが25%低い。口内で溶ける時に熱を吸収するので独特の清涼感があり、最近はシュガーレスガム以外にもクッキー、ピーナッツバター、カップケーキ、チョコレート、歯磨き、マウスウォッシュ、ビタミン剤など様々な食品に使われている。歯に良いということで、犬用のガムに使われる例もある。

FDAの報告書によると、キシリトールは人間には安全だが、犬が大量に食べるとすい臓から多量のインスリンが体内に放出される。インスリンは糖分を細胞の中に取り込んでエネルギーに変える働きがあるが、どんどんインスリンが出てしまうために、急激に血糖値が下がり、肝細胞が壊死(えし)する肝不全を引き起こす。

食べてから30分以内に嘔吐、ふらつき、虚脱、けいれん、発作などの症状が現れ、最悪の場合は1日以内で死に至る。FDAは「キシリトールは犬にとって致命的な毒になる」という強い表現を使って食べさせないよう求めた。

実は、キシリトールが犬にとって有害であることは、1960年代から指摘されていた。2006年に米国獣医学会とFDAが警告を出しており、2007年に日本獣医学会も注意を呼びかけている。ただ、その頃は、米国では年間に8匹が中毒症状を起こし、うち5匹が死亡、日本では1匹が死亡した症例が報告されただけだったため、一般にはほとんど注目されなかった。

ところが、2015年11月、米CBSニュースが全米の動物愛護団体などを取材、各地でキシリトール入りのお菓子を食べた犬が死亡する例が続出していると報道した。それによると、米国動物虐待協会が電話相談を受けた例だけでも、2014年中にキシリトール関連の重症のケースは3742件あり、少なくとも11匹が死亡した。2004年には電話相談を始めた時は82件だったから、10年間で約50倍に増えている。

全米の愛犬家が「食品に警告ラベルを貼って」

CBSの報道後、愛犬家の間でキシリトール入りの食品には警告ラベルを貼るよう求める運動が広がり、オンラインの署名運動を始めた団体もある。そこで、FDAが改めて獣医部門の研究チームを動員し、2006年時より強い表現で警告を出したというわけだ。食品には成分表示があり、キシリトールを使っているかをチェックして犬に与えるよう求めた。また、お菓子や歯磨きなどキシリトール入り食品を犬の口が届かない場所に保管するよう注意を促した。ちなみに、米獣医学会の報告によると、「体重10キロの犬が1グラムのキシリトールを食べただけで治療が必要になる」という。

ところで、猫は大丈夫なのだろうか。FDAの報告書によると、「キシリトールによるインスリンの急上昇は犬だけにみられる」としており、猫には触れていない。もともと大半の猫は、甘い物を食べないこともあって、はっきりわかっていないのが実情だ。複数の動物病院のウェブサイトを見ると、犬猫に食べさせてはいけない物のリストに「キシリトール」とあるので、与えない方がいいようだ。