深掘りコラム : 朝しっかり美容のススメ

一気に初夏の陽気ですね。肌の乾燥もずいぶん楽になったからとついスキンケアの手をゆるめがちですが、ダメですよ。とくに朝は。化粧水のあと日焼け止めを塗るから大丈夫、という話ではありません。朝から、乳液やクリームも使ってたっぷり保湿してほしいのです。

皆さんのスキンケアは「朝は軽め、夜にしっかりめ」ではありませんか? 実は私も30代までそうでした。当時の私はベリードライで、スキンケアも夜を丁寧にすることが大切だと思い込んでいました。仕事柄、高価でリッチなスキンケアを使う機会にも恵まれ、贅沢なナイトケアに日々いそしんでいたのです。

おかげで翌朝の肌は絶好調、化粧ノリも抜群。ところが夕方になると、やっぱりカピカピする…。あるとき、「これってもしやコスメの保湿成分で肌が潤っているだけで、私の肌本来の潤う力、バリア機能は強化されていないのでは?」との思いに至ったのです。

考えてみれば、日中は紫外線や乾燥、摩擦、排ガス、花粉に今では黄砂やPM2.5といった訳のわからない浮遊物もある。老化に直結するダメージの原因はほぼ日中に集中しているのに、そっちを防がないで、肌がクタクタな夜になって、「はい、あとはよろしく」とコスメに一任されても、追いつきませんぜ……って話ですよね。

 

朝美容は三文の得!


できたシミを消すのは大変だけど、日中に予防すればシミはできにくくなるのと同じで、予防なくして美肌キープはないのでは、と気づき、それからはスキンケアのメインを朝へチェンジ!

具体的には化粧水のあと油分も含む乳液やクリーム、オイルを夏でもたっぷり塗りこむだけ。老化に直結する酸化や炎症の発生を未然にブロックしたいので、抗酸化、抗炎症が入っているものを選び、外出するならUVプロテクトも必須。すると、肌の調子がどんどん良くなっていき、夕方になっても乾かなくなったばかりか、美白コスメの効きもよくなってきた気がします。

もちろん肌細胞の修復のために夜のスキンケアは重要です。ただ朝しっかりやっておけば睡眠中に肌が修復すべきスタート地点が前倒しになるので、ナイトケアの成果が出やすく、あれもこれもしなくても、翌朝までに余裕でリセットが終わっているなど、効率がいいのです。とてもシンプルな考え方ですが、理にかなっていると思いませんか? 実際にスキンチェッカーで測ると、私の表皮細胞の保水力やバリア力が格段に上がり、今もほぼキープできています。

 

朝美容をして、肌が変わったホントの話


そんなこんなで、朝美容の大切さを発信してきましたが、肌の状態が明らかに変わった人の実例があったので、その話も少し。

私は乳がんを経験したことから、がん患者さんを対象に病院でメイクセミナーの講師もしていて、患者さんに朝やメイク前の保湿がどれだけ大切かを伝えています。化粧ノリが良くなることはもちろんですが、治療中は肌が乾燥、敏感になりやすく、朝、水分と油分の両方をたっぷり補って肌を柔らかくしておくことで、物理的刺激を跳ね返す力が生まれるからです。

セミナーではメイク前にクリームを肌がつやつやになるくらい塗ってもらうところから始めます。皆さん最初は「こんなに塗るの?」と驚かれますが、肌にツヤが宿ると元気な印象がプラスされ、感触もふわふわで気持ちいいと好評で、その後も実践される方が多いようです。

ただ、参加者のその後の肌のことは私にはわかりません。わかったのは、メイクセミナーに毎回立ち会ってくれる看護師さんでした。最初はお世辞にも潤っていると言い難かった彼女たち(看護師はとても多忙で疲れ気味なうえ、院内も乾燥しているので仕方がありません)の肌が明らかにみずみずしくなり、表情もイキイキして見えるのです。

 


聞けば、朝保湿の話を聞いて実践してみたところ、「本当に全然違うんですね」と。早番の日や肌が乾燥していると思ったら、病院でメイクの上からハンドクリームをなじませることもあるって。それでもいいんです。日中の肌が潤っていることが大切なのだから。

夕方の肌はカピカピするものだと思っている皆さん! 騙されたと思って、「朝しっかり美容」やってみてください。量をケチると意味がないので、続けられる値段のコスメをチョイスしてたっぷり使ってみてください。オールインワンコスメでももちろんOK。日焼け止めを兼ねたデイクリームもありますし、朝、普段のお手入れに美容オイルを一品投入するのも手。美容オイルはさらっとしてべたつかないので、油分と一緒にさまざまな美容成分を盛るのにうってつけです。ポイントは、油分量は肌質や季節で使うものを調整すること。よほどオイリー肌でなければ多少の油分は必要なものなので、適量をしっかりと使うことをおすすめします。

 


この記事を書いた人
山崎多賀子/美容ジャーナリスト

1960年生まれ会社員、出版社へ転職し女性誌の編集者を経てフリーに。2005年に乳がんが発覚し、闘病中には自らの体験記や医療者などへ取材した記事を女性誌「STORY」(光文社)で連載、著書「キレイに治す乳がん宣言!」を上梓。現在「がんサポート」(エビデンス社)誌にて「いきいきキレイ塾」を連載中。医療系雑誌や乳がんムック誌など、がん関係の取材、執筆も多く手がける。 また、がん患者が闘病中も美しくいることの大切さをテーマに、聖路加国際病院で患者サポートプログラム「ビューティリング」にて月に一度、メイクセミナーの講師を担当するほか、全国各地で講演や患者さん対象のメイクセミナーを行っている。乳がん仲間とNPO法人女性医療ネットワークにて、女性の乳房の健康を応援する会「マンマチアー委員会」を立ち上げ、銀座にて毎月セミナーを開催。