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「いやー、我々もタブレットには困ってるんですわ」

見事な布石、さすが智将・南部正司。伊達に柳本イズムの後継者ではありません。31日に行なわれた男子バレー・リオ五輪世界最終予選、全日本は2014年世界選手権王者ポーランドと戦い、0-3で敗れました。しかし、この結果自体は問題ではありません。ココはやる前から0-3負けを計算していた試合。その意味で心理的なダメージはありません。むしろ、日本は見事な布石でまた一歩リオに近づいたといってもいいナイスゲームでした。

いかに負けるか、たぶんどうやっても負ける試合で何をするか。それがこの試合における全日本のテーマ。そこで智将・南部が仕掛けてきたのは、圧倒的地の利を活かした最終秘策「タブレットミス」への布石でした。そうです、全日本女子が紙一重でタイを下した、今世紀もっとも理不尽なデジタルトラップ発動へと、静かに、巧妙に、布石を打ったのです。

この試合、「最初から負けると思ってたけど、本格的に負けそうだな」と覚悟を決めた第3セット、智将・南部は仕掛けます。「うわぁっ、なんだこのたぶれっとはぁ!」「そうさがむずかしいなぁ」「これではどんなまちがいもありえる」という三文芝居を。それは最終的にセッターをふたり突っ込むという、とてもとても珍しい三文芝居でした。しかし、ここで獲得した「我々もタブレットの被害者です」という被害者面は、必ずのちの戦いで生きてくるはずです。

みなさま、どうぞタブレットにご期待ください。すべての操作をタブレットで申請するという仕組み、それはすなわちタブレットを制したものが試合を制するということ。この際、なりふり構ってはいられません。ここ一番、ここぞという場面では惜しみなく使います。イカサ…ではなく、タブレット特有のバグを。ざわ…ざわざわ…っ!

いかに相手が強かろうが、タブレットさえ押さえてしまえばチカラは半減します。開始早々スタメン6人を一気に入れ替える「6枚替え」(※バグです)。ミドルブロッカー登録の選手を全員コート内に押し込める「MB4」(※バグです)。絶対に入っている1点目のサイドアウトでイン・アウトのチャレンジを仕掛ける「見逃したので念のため確認」(※バグです)。一回操作するごとに小さなバツ印を押してエロ漫画のバナーを消すことを強いる「スマート広告」(※仕様です)。試合中にベンチを大騒ぎさせレッドカードを誘発する「驚くほどの発熱」(※サムスンの製造不良です)。いろんなものをなかったことにさせる「発火」(※サムスンの製造不良です)。これらによって、相手を混乱させ、ここぞの1点を搾り取るのです。

残り5試合、タブレットをフル活用して勝っていきたいものですね…!

ということで、全力の被害者面を世界にアッピールすべく、日本がこうむったタブレットミスについて、31日のTBS中継による「男子バレー・リオ五輪世界最終予選 日本VSポーランド戦」からチェックしていきましょう。


◆タブレットの言うことは絶対!監督よりもタブレットがエライのだ!


絶対に負けられる戦い、そんな触れ込みで始まったポーランド戦。智将・南部は思い切った戦いを仕掛けます。ガッチガチに緊張している福澤、ガッチガチに緊張していた山内ら、あまり試合に出ていないメンバーを中心にスタメンを編成し、「この1試合をフル活用してほぐれてくれよ」という半分くらい介護に相当する起用で、次戦以降への糧とする英断を下したのです。

テレビ局もクチでは言いませんが、そのヘンの現状認識はバッチリ。「今日はたぶん何にも景気のいい話ないだろうなぁ」という前提で、2枚の切り札を投入します。ひとつは、中島美嘉の夫の嫁・中島美嘉さん。美嘉さんは旦那のプレーに一喜一憂し、スタンドから全力でポーランドに呪いをかけてくれます。美嘉さんがくれば全勝という呪いの伝説、はたして今日はつづくのか。

そして、もう1枚。全日本の司令塔としてチームを牽引する、「次世代を束ねる日本の太陽」こと深津英臣さんのご家族を召喚してきます。優しそうなご両親、インリン・オブ・ジョイトイ似の美人妻、そしておじいさんにソックリの息子さん。眩い家族パワーを受け、深津さんの輝きも一層増していくかのよう。

↓ただし、残念なお知らせですが、お父様の現状を見るに深津さんは将来的にはハゲる模様!

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第1セット、決して日本も悪くはないものの、サーブ権のあるときの得点…いわゆる「ブレイク」を獲得する場面は乏しく、ジリジリと離されていきます。日本のミスの数と、ポーランドの会心のサーブの数だけ、そのまま差が広がっていくような格好。特に、ポーランドのクレクのサーブは、レシーブしただけで後ろに吹っ飛ばされるような威力で、日本を苦しめます。日本も石川祐希の希望のサーブで終盤に差を詰めますが、22-25で順当に落とします。

石川さんの友だち、柳田さんの弟という「私でもイケそう」なイケメンを紹介しつつ始まった第2セット。「今までブロックがゼロということは、今まで手を出していないところに手を出せばブロックできる」というバカの禅問答みたいなコメントで、解説席の川合俊一さんも気合い十分です。日本は最初のテクニカルタイムアウトをリードして迎えますが、ブロックの差を見せつけられ、中盤にはポーランドが9連続ポイントで一挙に逆転。最後はちょっと諦めムードも漂う感じで、第2セットを16-25で落とします。クレクのサーブに最後までやられました。

そして迎えた第3セット。日本は関田⇒柳田⇒山内⇒清水⇒石川⇒出耒田というサーブ順でスタートします。最初のテクニカルタイムアウトを奪われたあと、日本は動きます。まずミドルブロッカー山内に替えて傳田を投入。ここは同ポジションでの交代ということで、変化を求めてきた智将・南部。さらに二度目のテクニカルタイムアウトも14-16で奪われると、柳田に替えて米山を投入。しばし米山で守備面の心配を失くしたうえで、ローテーションが回って前衛に帰ってきたところで柳田をコートに戻します。

さらに日本は勝負の二枚替え。後衛にさがった出耒田の位置にセッターの深津を入れ、前衛に上がったセッター関田の位置に栗山を投入します。これは前衛の3枚にセッターを入れないようにすることで、前に攻撃力と高さがある3枚をキープしつづけるバレーボール特有の交代手法。セッターが前衛にいれば、どうしても下がってしまう攻撃力を交代によって補ったわけです。さぁ、ここからが日本の勝負所。

↓しかし、相手にサーブ権が移ったところで日本に痛恨のアウトオブポジションの反則!



問題の場面!

一体何が起きたのか!

↓直前の場面での日本の並びはこう!
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柳 田  関 田  出耒田
リベロ  清 水  石 川


ここでポイントを取り、時計回りに選手が動きます。右下隅にミドルブロッカーの出耒田がきたところにセッターの深津を入れ(深津はサーブを打つ)、代わりに関田のところに栗山を入れる二枚替えを行ないました。そのときの日本の並びを整理します。

↓単純に回すとこうなるが…
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リベロ  柳 田  関 田
清 水  石 川  出耒田


↓リベロはもともとリベロとの交代で出ていた傳田を戻し、関田の位置に栗山、出耒田の位置に深津が入ったのでこうなるはず。
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傳 田  柳 田  栗 山
清 水  石 川  深 津


ここで前衛の3枚はミドルブロッカーの傳田がレフトにきているので、日本は傳田を中央に動かしたい。そして、攻撃力のある柳田をレフトにまわしたい。こうした場合、バレーでは本当にギリッギリまでスタートポジションを調整して、

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    傳 田
     柳 田  栗 山


として「左・中央・右」の関係性をギリギリ保持しておいてから、

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    傳 田
 ←柳 田    栗 山


と、柳田が味方サーブと同時に左に動いてポジションを修正するわけです。


↓しかし、そもそも深津がサーブを打つ時点で日本は栗山と柳田が自分のオリジナルの位置をカンチガイしていた!

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どうやら、栗山・傳田・柳田の並びだと思いこんだままプレーしているようだな…?

栗山(7番)はレフトにいる必要などないし、いちゃダメなのに、わざわざレフトからライトに移動しているね…。

このカンチガイはサイドアウト後の次のプレー…つまり、問題の場面にもつづきます。栗山は相変わらず自分がレフトの位置だとカンチガイし、柳田もそれに応じてライトに位置取っています。深津が後列から走って前方に移動しているのでわかりにくいですが、日本は相手サーブが打たれる時点で、

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栗 山 傳 田  

          柳 田
リベロ  石 川      深 津


というポジションを取り、ここからセッター深津が前列中央まで走っていくという形にしたわけです。中継ではリベロの位置が問題視されるようなところがありましたが、リベロは一回外に出て1ローテしてから清水に替わって戻っただけですので、ポジションは間違っていません。

おそらくは二枚替えのところで、オカシクなったのでしょう。二枚替えの際、前衛にあがったセッターに替わるために、前衛レフトに交代選手が入ることが多いですから。しかし、そもそも、この場面二枚替えなどしてはいけなかった。バレーボールでは1セット6人まで交代ができます。二枚替えは基本的には「低い前衛A・高い後衛B」を「高い前衛C・低い後衛D」に交換する戦術。これがまたローテーションで戻ってきて「低い前衛D・高い後衛C」になったら、先ほど外に出た「高い前衛B・低い後衛A」をもう一度コートに戻し、「前衛がずっと高い」状態をキープするのが狙い。そのためには交代枠を合計で「4」使うのです。ところが、日本はこの時点ですでに3回交代しており、この二枚替えで交代は「5回」になっていたのです。これでは二枚替えで出た選手を戻すことはできません。あと1人しか替えられませんから。

おそらくは、深津をピンチサーブとするのが第1の狙い。それだとセッターが2人になるので関田を下げるのが第2の狙い。さらにそこにピンチサーブ相当の前衛・栗山を入れておくことで、ローテが1回まわったあとに栗山がサーブを打ち、連続ピンチサーブのような状態を作り出すのが第3の狙いだったのではないか…好意的に考えると、そんな風に思います。ちょっと斬新なので、あまり理解できていませんが。しかし、そんな好意的な解釈を挟む余地なく、日本の混乱はつづきます。状況を整理するためのタイムアウト中、ベンチでは「栗山に替わります」という意味の7番の札を持った関田と、「深津に替わります」という意味の10番の札を持った出耒田が待機していました。しかし、もうこの二枚戻しはできない。

それでも、何のことはなく、そのまままわっていればよかったのです。ところが、ベンチは何故か交代を申請し、「栗山と関田の交代」だけを行なってしまいます。これにより、日本のコート上には極めて珍しい関田・深津のダブルセッターという状況が発生。リベロも清水との交代だったので、すぐに深津に替わることはできず、一旦清水と交代で外に出て、1ローテしてから深津に替わってコートインするという複雑な交代となります。この場合、リベロが前衛までまわったら再び深津が戻らなければならず、何だかもうシッチャカメッチャカのグッチャグチャです。

↓交代を使い果たした日本は、落とせば負けの第3セットを最後までダブルセッター制で戦った!


3回交代したあとに、交代枠「4」を使う二枚替えをしちゃったタブレット操作ミス!

ローテーションをカンチガイしたままボンヤリ状況を見ていたタブレット確認ミス!

さらにセッターを戻してダブルセッターにしちゃったタブレット操作ミス!

トリプルタブレットミスで大混乱や!

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このようなミス、よもや智将が犯すはずがありません。間違いなくタブレットの問題です。タブレットが何らかの誤作動を起こし、間違った交代やら、間違ったセッター戻しやらをやってしまったのです。これは日本だけの問題ではなく他国にもきっと起こるはず。不思議なWi-Fiなどによって、グッチャングッチャンのシッチャカメッチャカになるはず。日本もこんなんなってるんですから、他国が同じようなことになっても、文句はないですよね。みんな、同じ、被害者ですから!

大混乱のさなか、ひたすら「(原因はよくわからないけど)切り替え!切り替え!」と叫んでいた頼もしきキャプテン・ゴリの声。僕はまだ諦めてはいません。最後の最後まで、何かが起きないとは限らない。相手国が同じようなタブレット操作ミスに見舞われる奇跡を信じて、最後まで応援していきたいものですね。

とりあえずイラン戦では、タブレットに20点くらい取ってほしいです!