ウオーキングで集中力を高めよう

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眠れない、食欲がない、落ち込む......。ストレスの多い現代社会にうつ病患者は増えており、世界保健機関(WHO)が日本を含む先進17か国で実施した国際調査によると、10〜20人に1人が生涯にうつ症状を経験するという。

そのうつ病の改善に、ウオーキングと呼吸法を組み合わせた方法が効果的であるという研究がまとまった。米ラトガース大学のブランドン・オーダーマン博士らのチームが米精神医学誌「Translational Psychiatry」(電子版)の2016年2月10日号に発表した。

週に2回、2か月間続けると前向きになれる

研究チームは、瞑想(呼吸法)と有酸素運動(ウオーキング)を組み合わせたこの方法を「Mental and Physical」(MAP法)と名付けた。研究には、うつ病と診断されたラトガース大学の学生22人と、精神障害の既往歴はなく健康だが、日常生活に不安や否定的な感情を抱え、勉強に集中できないと訴えた学生30人が参加した。計52人の参加者に「MAP法」を週に2回、2か月取り組んでもらった。瞑想は、専門の指導者をつけ、次の方法で行なった。

(1)あぐらをかいたり、直立したり、自分が快適と思う姿勢で腹式呼吸を行なう。呼吸に集中し回数を数える。息を吸う時にお腹がふくらみ、横隔膜が下がるのを感じる。はじめのうちは、お腹に集中するため、手を当てて行なう。

(2)口からゆっくり息を吐き、お腹がへこんで横隔膜が上がるのを感じる。吐き切ったら息をしばらく止める。

(3)息を吐く時は、吸う時の2倍くらいゆっくり時間をかける。慣れてきたら1回の呼吸時間を長くし、呼吸回数を減らしていく。

有酸素運動は、トレッドミル(ランニングマシン)を使ったウオーキングや軽めのランニングを行なった。1回のMAP法に瞑想30分と有酸素運動30分の計1時間をかけた。

2か月後、参加者全員に抑うつ度を測るアンケート調査や面接診断を行なった。その結果、うつ病学生は実施前に比べ、症状が21%軽減した。また、健康な学生の大半が抑うつ度が軽くなり、人生を肯定的にとらえられるようになったと回答した。参加者の多くが前向きになり、集中力と積極性が増したのだ。

たとえ再発しても、もう一度取り組めばいい

うつ病の治療は、向精神薬による薬物療法と医師との対話による認知療法が代表的だ。オーダーマン博士は

「ウオーキングなどの有酸素運動と、呼吸法による瞑想は、それぞれがうつ病に有効であることは前から知られていましたが、組み合わせて行なうと、いっそう効果が上がることがわかりました。MAP法は、1人でいつでもどこでも行なうことができるのが強みです。もし、患者がうつ病を再発した時も、これらのトレーニングで改善したことを思い出しながら再び取り組めば、状態をよくすることが期待できます」

と語っている。