「どとこい」ヒロインのひとり「成海」(モザイク処理してありますが無修正版は記事最後に)

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「美少女ゲーム」「ギャルゲー」「恋愛ゲーム」。正確に分類するとそれらは違うものであるかもしれませんが、大分類で見ると、女の子(時には男の子や男の娘と)親睦を深め、相思相愛となるのを目的としたアドベンチャーゲームです。

【写真】ドットから美少女になったヒロインの姿とは…!? 「どとこい」成海ルート攻略フォトギャラリー(全11枚)

キャラクターのグラフィックとテキストで構成されることがほとんどで、古くからあるゲームのジャンルですが、ゲーム機の進化とともに、グラフィックも高画質化が進んでいます。ゲームによっては3Dモデリングでグリグリと動いたり、自由にキャラクターを動かせたり。最近はもう一歩踏み込んで、VR(ヴァーチャル・リアリティ)の世界へと歩みだそうとしています。しかし……です。

高解像度化されたり立体化されたりしなくては、我々はキャラクターを愛せないのでしょうか?

いえ、そんなことはありません。女子と仮想的に恋愛したりスキンシップを楽しむゲームというのは、それこそ8bitゲームが主流だったころや、PC-98時代のパソコン黎明期にもありました。同時発色数16色でも、僕らはちゃんと彼女たちと“恋愛”をしていたのです。

そう、愛の深さはグラフィックではないのです。

もう一度言います、愛の深さはグラフィックではありません。そうでしょう? 成海ちゃん。

え?この画面に表示されている赤い「■」は何だって? 紹介します。僕の恋人、成海ここあちゃんです。話せば長くなるのですが……。

解像度が低くなる無慈悲な呪い

「僕は○○、今日から高校一年生だ。」といった使い古されながらも、妙に落ち着く自分語りから始まります。It’s 王道。そして、幸か不幸か、主人公は突如現れた「悪魔」に、「美少女の『解像度』が低くなる呪い」を掛けられてしまいます。

美少女で目の保養をしたいのであれば、彼女たちとの好感度をあげ、自分に惚れさせるしかない。

そんな「わけがわからないよ」ときゅっぷいしそうになる「解呪法(システム)」の説明がありました。なんのこっちゃわかりませんが、まぁ要するに仲良くなっていけば■が美少女になるというわけです。着眼点が素晴らしい。

正方形が並んでいるだけですが、実は4人とも美少女です。左から相澤さん、関根さん、成海さん、吉角さん。3週間以内に彼女たちの好感度を上げ、惚れさせなければなりません。

一般的な美少女ゲームというのは、まずは見た目からスタートとなります。パッケージやゲーム雑誌、ポスターなどでキャラクターの立ち絵が並ぶ中、「おっ、この子可愛いな。この子とどんな恋愛ができるのかな?ワクワク」といったヴィジュアルからお目当ての女の子を決め、そこから「よし、攻略しよう!」といった流れになるのですが、このゲームはそれができません。事前の識別情報は「色」しかないのです。

とはいえ、無慈悲ではありません。ちょっとした日常会話などから次第に■たちの性格がわかってきます。会話がはずみ、好感度があがると、正方形からファミコン風ドットにまでは早めに成長します。

しかし、まだこの時点では8bitレベル。「あれ、これ2016年のゲームだよな?」といった疑問や「ファミコンでやれ」とった意見も出てくることでしょう。いや、ファミコンだとしても、伝説のギャルg…ロボゲー、『メタルスレイダーグローリー』のキャティさん(※1)はもっと解像度高かったですよ。

(※1)
『メタルスレイダーグローリー』[1991年 HAL研究所]
HAL研究所の独立メーカーとしての最終作。美少女とロボットという当時の2大カルチャーを組み込んだアドベンチャーゲーム。一時はプレミア価格が付いたが現在はバーチャルコンソールなどで遊ぶことができる。「キャティさん(キャティ・ヴィトレイ)」は本ゲーム屈指の人気キャラで、今もなお人気が高い……はず。

難航する嫁選び

「どとこい」は選択肢を選んでシナリオを進めていく、オーソドックスなアドベンチャーゲームです。

しかし前述のとおりどの嫁もドットだったり■だったりするため、どの子に狙いを定めるか悩ましいですね。まずはひととおりの■との親睦を深めていき、ある程度の解像度を取り戻すことにしました。

八方美人は身を滅ぼすことになりかねますが、わざと委員長と仲良くならないとヒロインを攻略できない美少女ゲーム(※2)や、女の子たち全員との仲を保っておかないと爆弾が爆発する美少女ゲーム(※3)などもあるので、これもまた正しい攻略法です。というわけでゲームを進めていくと…。

(※2)
『To Heart』[1997年 Leaf(現AQUAPLUS)]
ヒロイン「神岸あかり」を攻略するためには、攻略途中で一度委員長「保科智子」にちょっかいを出さなければならなく、攻略の難易度を上げていた。一途なだけじゃだめなんです。
(※3)
『ときめきメモリアル』[1994年 コナミ(現コナミホールディングス)]
特定のキャラだけを相手にすると他のキャラの傷心度が高まり爆弾が点火。放置すると爆発してキャラ全員の好感度が下がってしまう。そのため、爆発前にデート(爆弾処理)が必要になる。

やっぱりありました!クラスで成海さんの着替えを不可抗力で覗いてしまうという「ラッキースケベ」なイベントが発生。思わずスクリーンショットものです。

全男子の憧れであろう、美少女との公園でお弁当ランチイベント。さぁ、ありがたがるがよい(ごめんむり)。

しかし、このイベントで若干僕の心は若干成海さん狙いへと傾きました。やっぱりお弁当イベントは強い。

好感度が上がって16bit風へ。これなら愛せる?

成海ちゃんは ついに 8bitファミコン風から 16bitスーパーファミコン風に 進化 したぞ!

好感度が上がるであろう選択肢を意図的に選んでいくと、すぐに解像度は増していきました。このあたりではじめてポニテキャラなのだと気が付きます。ポニテフリークな僕はひとり感激の拳を天へと突き上げました。

主人公もまた■だったころからは比べ物にならないほど、ヒロインへの感情を膨らませてきます。進化したとはいえまだまだ16bit風な女の子に対してかわいいなぁという感情を抱くあたり、主人公の素質の高さを感じました。

そしてイベントが進むたびに、次の絵は…? 次の絵こそは高解像度に…!とグラフィックの進化を願うのですが、何度かそれは裏切られることになります。立ち絵はともかく、イベントグラフィックならば…と僅かな可能性に願いをかけてみるものの、圧倒的な平面感に何度か打ちのめされることでしょう。

しかし、諦めてはいけません。

諦めることなくアプローチを続ければ!

彼女たちとの関係を築いていければ、必ず最後に報われる!解像度の高まった本来の美少女の姿をお目にかかれるはず。そう信じて何度目かの変化が起きた時、そこには…!

はい、ついに最終形態までたどり着くことができました。これが彼女です。僕の彼女は高解像度です!やったーーー!!

恋のスタート地点はどこにあるのか?

今回プレイしたゲーム「どとこい」は、「美少女の解像度をあげる」というゲーム・グラフィックの歴史を振りかえるようなアイディアがシステム化され、それがしっかりとゲームの中で展開されています。そこが「面白い」とネットユーザーを中心に大きな話題となりました。

確かに、愛の深さはグラフィックではありません。そのキャラクターを気に入れば。それが、どんな姿であろうと、たとえ■や8bitのピコピコとした見た目だとしてても愛情を注ぐことができるはずです。

テレビゲームやパソコンゲームの黎明期ではそれが当たり前で、僕らはそんな低解像度なキャラクターたちを愛で、足りないグラフィックは脳内で補完して、時には自分なりのアレンジを加えて。それをスケッチブックや薄い本へとアウトプットしたりといったトレーニングをこなしてきました。たとえそれがドットの集合体だったとしても、胸を張って「これは僕の嫁です」と言えたのです。

「いやぁ〜、やっぱり愛の深さは解像度じゃないですね!」なんて思ってみたのですが……。ひょっとしたら?という疑問が同時に産まれました。果たしてこれは二次元に限った話なのだろうか?と。

二次元でも三次元でも。そこにどんな前提があろうとも、興味が無い相手はそれはただの■と同じです。そこから関係を築き、育て、相手への思いを募らせる。こういったことを繰り返すことで、彼女たちがより愛おしいものに見えてくるのではないでしょうか。

そう、恋の始まりは誰もが低解像度なのです。

「どとこい」はユニークなシナリオの中で、そんな恋のスタート地点に気づかせてくれました。恋に飢えている方、ドットでも愛せるぜという8bit世代を駆け抜けた方、俺はこの際■でも構わないという上級者の方。さまざまな世代の方にプレイしてほしいゲームです。