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理化学研究所(理研)は5月31日、魚の求愛行動を促進する「フェロモン受容体」を発見したと発表した。

同成果は、理化学研究所 脳科学総合研究センター シナプス分子機構研究チーム 吉原良浩チームリーダー、矢吹陽一客員研究員らの研究グループによるもので、5月30日付けの国際科学誌「Nature Neuroscience」に掲載された。

キンギョなどの魚類においては、「プロスタグランジンF2α(PGF2α)」が、メスの体内で排卵・産卵を促進するホルモンとして働くだけでなく、メスから水中に放出されてオスの性行動を誘起する性フェロモンとしても機能することが1980年代に報告されていた。しかし、PGF2αによる性行動誘起の神経回路メカニズムについては、これまで解明されていなかった。

そこで今回、同研究グループは小型の熱帯魚「ゼブラフィッシュ」を用いて、PGF2αを認識する嗅覚受容体の同定、および求愛行動を促進する神経回路メカニズムについて解析した。

この結果、PGF2αを特異的に認識する嗅覚受容体「OR114-1」を発見。また、PGF2αの鼻への刺激によって、終脳腹側部腹側核、視索前核、外側視床下部など、特異的に活性化される嗅覚神経回路の領域が観察された。

さらにゲノム編集技術を用いて、OR114-1を欠損したゼブラフィッシュを作製したところ、オスの欠損体ではメスへの誘引および求愛行動が著しく減少したという。

このような性フェロモンを介しての求愛行動は、ショウジョウバエなどの昆虫からマウスなどの哺乳類に至るまで、多様な動物種で観察されることから、進化的に保存された共通の神経メカニズムが存在すると考えられている。

今回の成果について同研究グループは、今後効率的な水産養殖法の開発など水産業の発展につながることが期待できるとしている。

(周藤瞳美)