『ケイオスドラゴン 混沌戦争』公式サイトより。

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 2015年7月にAndroid、8月にiOSで配信開始したゲームアプリ『ケイオスドラゴン 混沌戦争』(SEGA)のサービスが終了することが発表された。アプリ配信と同時にTVアニメ『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』(TOKYO MXほか)も開始されるなど、メーカーもかなり気合を入れていたタイトルだったように思えるが、一体敗因は何だったのだろうか。

 今回のサービス終了発表に対しては「原作付きなのにこんなに早く終わるとは」「マルチ展開全てで失敗だったもんなー」「だからクリエイターの酒飲み話企画を通しちゃだめなんだってばよ」と、あまりにも早すぎる終了という点で驚きはあるもの、案の定といった声が多い。

『ケイオスドラゴン』の原案は小説『レッドドラゴン』(星海社)。同作はTRPG(テーブル・トーク・ロール・プレイング・ゲーム)という手法をベースに制作されたもので、これは複数の人が集まって会話形式で物語をつくっていくというもの。“フィクションマスター”が企画したオリジナルシナリオの世界で、参加したクリエイターたちはそれぞれが一人のキャラクターを演じ、一丸となって物語を作り上げていく。

 シナリオを担当し、フィクションマスターとして物語を設計したのはグループSNE出身で、TVアニメ化もされた『レンタルマギカ』(KADOKAWA)の作者でもある三田誠。物語の創造者たるプレイヤーを務めたのは、『魔法少女まどか☆マギカ』(TBS系)でシリーズ構成・脚本を手がけた虚淵玄、『Fate』シリーズで知られる小説家でシナリオライターの奈須きのこ、『ミミズクと夜の王』(電撃文庫)の小説家・紅玉いづき、同作のイラストを担当したイラストレーター・しまどりる、『バッカーノ!』『デュラララ!!』(ともに電撃文庫)の小説家・成田良悟の5人という超豪華な顔ぶれだ。

『レッドドラゴン』は2012年から制作がスタートし、14年に完結。そして15年にこれを基にしたゲーム『ケイオスドラゴン 混沌戦争』配信開始、アニメ『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』放送を迎えた。

 満を持しての2大メディア展開だったが、結果は前述のとおり散々な目に。まずアニメだが、「ゲーム知らないと全く頭に入ってこない作品」「専門用語を用いられても、知らない人は何を言っているのか分からない」というように初見殺しな点が多々見うけられ、第1話でギブアップするアニメファン多数、Blu-ray&DVDの売り上げも大苦戦となったようだ。しかし、「所詮ゲーム販促アニメ」というように、ゲーム“だけ”でもヒットすれば問題はなかったのだが……。

 ゲーム『ケイオスドラゴン 混沌戦争』はAndroid版配信からわずか一カ月半程で20万ダウンロード突破と好調なスタートを切る。SEGAは莫大なヒットを見越してかダウンロード数に応じたキャンペーンを企画、30万ダウンロードで「しまどりるのサイン入り台本&オリジナルグッズプレゼント」、40万ダウンロードで「ねんどろいど企画開始」、50万ダウンロードで「しまどりる氏オリジナルキャラクター製作開始」と10万毎に太っ腹なプレゼントを公約として掲げ、さらに100万ダウンロードで「イラストレーター岩元辰郎氏参加」とまで用意していた。

 しかし、『ケイオスドラゴン 混沌戦争』の公式サイトを見ると、「ダウンロードStarterキャンペーン『Next⇒50万DL』」が表示されたままという、無残な姿(5月30日現在)。1カ月半で20万DLだったのにも関わらず、その後約9カ月でも20万程度しかDL数は伸びなかったのだ。人気が伸びなかった理由の一つにはゲームの面白さというよりは「カクカクしててやりづらい」「とにかく読み込むのが遅い」「重すぎ。すべて重すぎてストレスでしかない!」と、システムにも問題があるようだ。内容自体は「楽しいよ、雰囲気がすごい好き」「グラフィックがキレイ」とそこそこ高評価。

 大コケをして早期撤退となってしまった『ケイオスドラゴン』のメディア展開。せっかくの豪華クリエーターたちが作り上げた原作を生かしきれなかったのはもったいないの一言で、この最大の被害者と言えば、小説を作り上げたクリエイターたちなのかもしれない……。