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いよいよ明日6月1日は、経団連の採用指針で定められた就職活動の面接・選考の解禁日だ。本来であれば、来春卒業予定の大学・大学院生の選考はこの日に解禁されるはず。しかし、「選考解禁前夜には半分の学生が事実上の内定を得ているとの見方もある」(産経新聞)などと報じられており、表立って選考が始まる6月1日から、一気にラストスパートに入る人もいそうだ。

「6月1日にウチに来てくれたら内定を出しますよ」。首都圏の有名私大4年生のM子さんの携帯が鳴ったのは5月下旬のこと。選考が進んでいた企業の人事担当者からで、朝から夕方まで本社ビル内で面接をもうけるので、来て欲しいと言われたそうだ。いわゆる「拘束」と言っていいだろう。ただ、M子さんは異業種が第一志望で、まだ就活を進めていた。言葉を濁していると、さらなるプレッシャーがかかった。「1日の夕方か、翌日には内定出せると思うよ」。

本当はこの日、4〜5社の会社説明会をまわる予定だったが、「あまりに露骨だなと思いましたけど、本命の業界が落ちたら行くつもりの会社なので、拘束されに行きますよ」と笑う。しかし、内心ではこの日に受けられなかった企業への迷いもまだ残っているようだった。

●「拘束の仕方によっては、その企業の印象も悪くなる」

拘束されるのはM子さんだけではない。名門私大の大学4年生のT男さんの場合、4月中に上場企業から「電話口で内定だと口を滑らせてしまった」という形で事実上の内定を獲得していたが、5月に人事担当者から電話がかかってきた。M子さんに比べると、さらに露骨で、都心部から離れた施設で研修を受けるように伝えられたそうだ。「行きたい会社だから、この日は犠牲にして、他の会社の面接は控えます」と言うが、翌日から就職活動は続ける。

露骨な拘束はせずに、単なる意思確認の場になっているケースもある。別の有名私大4年生のA男さんも「内定をもらっている会社と握手だけしに行きますけど、拘束時間は1時間くらいと聞いているので、その後は他社の選考に行きますよ」と、したたかだ。

別の大学4年生M彦さんは、「一時的な拘束でも、6月1日から1次面接を始める企業の選考に行けなくなる場合もあるので、内定出すなら6月までもったいぶらず、早く出して欲しい。6月1日に学生を呼び出す企業の選考は実際のところ、3月、4月から始まっていて、そもそも解禁日を守っているとはいえないでしょう」と企業に厳しい視線を向ける。

関西の女子大生S子さんも「他社の面接を受けさせないようにすることに、あまり効果はないと感じています。拘束の仕方によっては、その企業の印象も悪くなりますし、学生も嘘をつくのが後ろめたく、ストレスを感じます」と語っている。

一方、ネットでは「6月1日拘束されたさすぎる」という率直な声も。就活生たちは、様々な思いを胸に、明日を迎えることになりそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)