ダイアログ・イン・ザ・ダーク「暗闇の研修」を体験してみた!
 ドイツ生まれのユニークな企業研修『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』(以下、DID)について、前回は企業の導入例(「トヨタも導入した『暗闇の研修』ってなんだ!?」)を紹介、かなりの反響を得た。そこで今回は、実際に参加してみた体験会の様子をお伝えする。

「しがらみや立場にとらわれない対等な立場での対話を促進する」というこの研修。果たしていかなるサプライズが用意されているのか?

◆これまで出会ったことのない8人の参加者が挑む

 唐突だが、記事を読む前に視覚の重要性を味わって欲しい。そのために、二種類の片足立ちを試してほしい。

 最初に目を開いた状態のまま片足で立つ。これは簡単にできるはずだ。次に両足をついた状態で目を閉じて、そのまま片足を上げ、しばらくバランスをとる。これは目を開いていた時より格段に難しくなったはず。視覚というのは、一見、関係ないようなバランス制御にさえ関わっているのだ。この重要な視覚を封じたうえで研修へと突入することになる。

 さて、話を戻そう。体験会は東京メトロ外苑前駅から徒歩10分ほどにある、ダイアログ・イン・ザ・ダーク常設会場にて催された。

 参加者は約8名ずつの2グループに分けられる。20〜40代と年齢層は幅広い(後でわかったことだが、それぞれ大手企業からNPO、担当部署も若手育成やサービス開発、障がい者サポートなどと幅広いようだ)。そして誰もが初対面。そこに司会進行役として、視覚障がいのあるアテンドスタッフ・ジュンさんが帯同する。

 誰もが初対面にも関わらず、ニックネームを教え合うだけで自己紹介の時間は設けられていない。このため、参加者はお互いの素性を知らず、わかっているのは呼称と性別と声の印象から受ける大雑把な年齢くらい。これは先入観を取り除く仕掛けのひとつなのだろう。

 各メンバーは「白杖(はくじょう)」という視覚障がい者が使用する杖を選んで使い方の説明を受け、照度ゼロの空間へと導かれる。そこは自分の身体さえ視認できない、何も見えない真っ暗闇。

 当然ながら空間把握がまったくできなくなる。自分がどれくらいの部屋にいるのか? ほかのメンバーとの位置関係は? さっぱりわからない。一方で声の方向や大きさでなんとなくの距離感を感じられることにも気づかされる。

 その後、暗闇を手探りで隣りの部屋へと進むのだが、これだけでもひと苦労。なにしろ、お互いの位置関係も、進むべき方向もわからない。必然的に互いに声を掛け合い、暗闇を手さぐりでほかのメンバーを見つけることになる。「あれっ?」とか「いたっ」などというつぶやきがそこかしこで聞かれる。まさに暗中模索。まさに非日常。しかし視覚を遮断すると、草の香り(真っ暗なので正確にはわからないが、笹の葉であった気がする)や虫の鳴き声などに敏感になり、わずかな距離を移動するだけでもさまざまな発見がある。

 電車ごっこのように連なって進むなか、先頭のミッキーさん(♀)が「ここ、段差あります」と後ろのカズさん(♂)に教える。カズさんが段差に到達すると、「段差あった」とさらに後ろのスズエリさん(♀)に伝える。伝言ゲームのようにして、そろそろと足を出しつつ進んでいく。

 他愛もないやりとりだが、暗闇でスムーズに移動するためには必要な声掛けだ。

◆メインイベントは暗闇での模型組み立て

 移動後、ちょっとした遊びで肩慣らし。そして、いよいよメインイベントの「共同作業」に入る。今回のミッションは、「レインボー」。木製模型の組み立てだ。

 ネタバレになるが、木製模型は虹の形をしており、いくつものアーチ型パーツに分解できる。

 バラバラにされたパーツが各人に一つずつ配られ、これを元通りに組み立て直すのがミッションだ。正しい形に復元するためには、大きさの異なるパーツを、小さい方から順番に重ねていかなければならない。