松本幸四郎が吹き替え初挑戦、娘の“エルサ”松たか子から大変さ聞く。

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俳優の松本幸四郎(73歳)が、ディズニーの新作「ジャングル・ブック」で、声優を務めることがわかった。松本が日本語吹替え版の声優を担当するのは初めて。

本作は、2000人のオーディションから選ばれた12歳の新人ニール・セディが、主人公の少年モーグリ役に抜擢され、「アイアンマン」シリーズの大ヒット・メーカー、ジョン・ファヴロー監督がメガホンを執る。米国をはじめ海外では4月15日より公開が始まっており、すでに世界興収8億3,098万5,487ドルの大ヒットを記録中だ。

今回、松本が日本語吹替え版の声優を務めるのは、主人公の少年・モーグリを優しく、そして時に厳しく導く黒ヒョウのバギーラ役。「歌舞伎界を牽引する一人としてご活躍されている松本幸四郎さんのイメージと人生の“師”や“指南役”としてモーグリを導くバギーラの役がピッタリと合致した」というディズニーからのオファーに、中学生の頃は「黒ヒョウ」の愛称で呼ばれていたという松本は、まさかの「黒ヒョウ」役に驚いたものの、違和感はなかったと快諾した。

しかし、「アナと雪の女王」でエルサを演じた娘の松たか子からも「ディズニー作品の吹替えは大変」と聞いていたそうで、予想通り初の実写吹替えは「すごかった」と一言。ナレーション経験はあるが、実写キャラクターの吹替えは73歳にして初の経験で、声で表現することは非常に難しかったが、役者にとってこれは必要なことと感じたそうだ。今回、バギーラの声と、作品中のナレーションも務めており、「大変難しかったが、心に残る素晴らしい、良い仕事をさせてもらった」としみじみと語っていた。

映画「ジャングル・ブック」は8月11日、全国ロードショー。

☆松本幸四郎インタビュー

ジャングルの中で描かれる動物たちの調和やふれあいを観ていると、「明日からまた頑張ろう」という活力を与えられます。ウォルト・ディズニーの遺作と言われるアニメーションも観ていますが、今回のフルCGで描かれたリアルな映像美には、オープニングのシーンから、総毛立つほど驚きを覚えました。今回の『ジャングル・ブック』は完璧です。僕はこの『ジャングル・ブック』を観て原作や、ディズニーのアニメーションも思い出したんですが、でも今回の『ジャングル・ブック』は、ほぼ完成品じゃないかなと思います。

私が演じるバギーラは、モーグリを見つけたというか見つけられたというか、運命的な出会いを果たした、モーグリにとって恩師とか親とか先輩とか教師である存在です。バギーラにとっても、モーグリはただの人間の子供ではなく、出会うべくして出会った特別な存在。描かれてはいないですが、もしかしたらバギーラもかつて自身の子供を亡くしていて、モーグリにその姿を重ね、愛情を注いでいたのではないか?と解釈し、役作りの参考にしました。そう思うと、自然とモーグリに対する愛情が溢れてくるんです。バギーラ自身も、後半は年老いて傷ついて、老いたる黒ヒョウになっていく。そういうところが、とっても悲しいのだけれども、何か、やっぱり命っていいものだなと感じました。

ブルーバックでの演技は経験がありますが、CGの中でたった一人で演じきったモーグリ役のニール・セディ君は、本当に大変だったと思います。でも、子供ならではの素直さや、演技経験が初ということは、かえって想像力を必要とする今回の演技には効を奏したのではないでしょうか。それでも、大人でも難しいことに挑戦し、悔しい思いをして泣いたこともたくさんあっただろうと思います。子供は皆、モーグリ。ジャングルに住んでいるか、都会に住んでいるかの違いはあるが、好奇心にあふれ、純粋なものをもっている。そんなモーグリが狼に育てられる姿を見ていると、「人間は自然の一部なんだな」とニール君の名演で、改めて我々に感じさせてくれます。

僕も黒ヒョウと呼ばれてはいましたが、僕はバギーラのような立派な黒ヒョウではないです、映画の中には僕にそっくりなちょっとダメな動物もたくさんいました。ただ、この映画で色々な動物たちを観ていると、ダメはダメなりに、生きていることは素晴らしいんだなと思いますね。人間は、幸せな楽しいときだけじゃなくて、辛い時もあれば、苦しいときも悲しいときもあります。人間として生まれた以上は、そういう辛さを勇気に、悲しみを悲しみのまま終わらせるのではなくて、悲しみをなんとか希望に変えていく。それが、人生じゃないかなと思いました。『ジャングル・ブック』は、我々が、息をして、光を浴びて、空気を吸って、風に吹かれている、自分たち人間もひょっとしたらそんな自然界の掟の中に生かされているのかもしれない、と、我々が忘れかけていることをひしひしと感じさせてくれる映画です。

お子さん方、学生さん、若い方々、みなさんに観てほしいですが、僕らと同年代、あるいは50代60代のお父様、お母様方にもぜひ、お子さん、ご家族連れで観ていただきたいですね。ディズニーのアニメーションをご覧になった方、『ジャングル・ブック』を読んだ方、そういう方もお子さんと一緒になってご覧になると、親が子供を育てるのではなく、先生が生徒を教えるというのではなく、子供ができて、親が子供によって親にさせてもらうんだなと、生徒に教えられるんだなという大事なことを気づかせてくれると思います。