ライター/編集者の池田園子が同世代(86〜87世代)の旬な人に「仕事の話」を伺う連載です。

これまで身をおいていた業界から、まったく別の業界へ転職する人を見ていると「勇敢だな」と感じることがあります。でも、よくよく話をきくと、決断の裏には複数のキャリアが太い糸でつながっていることがわかります。1つの仕事をするなかで、次なる仕事へとつながるきっかけは確実に存在している。不動産業から司会業へとキャリアチェンジした阿部恵さんもその一人。現在、ブライダル司会をメインに行う阿部さんに、仕事の話を伺ってきました。

会社では司会業と事務を両立

Q. 現在、どんな仕事をしていますか?

A.披露宴や人前式などブライダルの司会を中心に、ときどきイベントの司会もしています。事務所に社員として勤務しているので、自分がプレイヤーとして司会をするだけでなく、司会者さんへの受発注などのバックオフィス業務も担当する珍しいキャリアかもしれません。基本的に休祝日は司会業務を、平日の日中は事務作業をしたり、打ち合わせに行ったりすることが多いですね。
「バックオフィス業務までするのは大変そう」と思われるかもしれませんが、どちらかというと表舞台ではなく、裏側を把握できるのにはメリットもあります。
たとえば、受発注のやりとりをしている司会者さんから、新しい会場をはじめとする私の知らない情報が集まってくること。純粋にうれしいです。

前職で担当した不動産セミナーが人生を変えた

Q. 阿部さんが司会業へ進むきっかけはなんでしたか?

A. すこしさかのぼりますが、大学卒業後、不動産会社に入社したんです。「住宅購入という一生に一度のライフイベントに関わるお手伝いをして、お客さまに喜んでもらいたい」と強く思っていたので、選んだのは新築マンションの営業職でした。
何年か働くなかで、新築マンション販売セミナーを開催したんです。今が買いどきですよ、と大勢のお客さまへ一斉に同じメッセージを訴求する場でした。いかに情報をうまくわかりやすく伝えるか、営業時代にいろいろと考えて、お客さまと同じ目線で話をするのを中心に実践したところ、評価をいただいて。
結果、営業からセミナーを企画運営する仕事をするようになったんです。税理士さんと掛け合いするかたちでセミナーをしたり、住宅コンサルタントさんをお呼びしてトークイベントをしたりと、いろいろなとり組みをやっていました。

そうするうちに、自分には人前で話す仕事が向いているのかもしれない、と思うようになって。不動産会社を退職後、司会の勉強を本格的にはじめました。研修期間を含め、今の事務所に勤めるまで、約3年ブライダルの司会を受けて、経験を積んできました。

話し好きで世話好きな女性は司会に向いている

Q. ブライダルの司会者に向いているのはどんな人だと思いますか?

A.おしゃべり好きで、世話好きな女性は向いていると思います。打ち合わせから入るのが司会の役割ですが、そういったタイプの方は新郎新婦に対し、親身になれるんです。それこそが大事なスキルで、人生で一度きりのセレモニーに生かされます。自分が話すのが好き、人の世話をするのが好き、という方はそこに自信を持ってほしいです。
また、経験者であるか否かは関係ありません。「今までしばらく働いていなかったけれど、子育てが一段落ついたから挑戦してみたい」「自分にしかできない仕事をしてみたい」といった未経験の方もたくさん登録にこられます。私は事務所の勉強会で新規登録司会者さんに、ご披露宴当日のMCだけでなく、発声方法や打合せの仕方などを教えています。マスターするのが早い方は数か月で現場に出ています。
私は不動産業界からでしたが、おそらく多くの業界に営業や接客、社内イベントで人前で話しをする方はいらっしゃいます。そして、電話対応も人と話すお仕事なので、司会者に必要なスキルをお持ちの方はたくさんいると思います。

打ち合わせのヒヤリングは丁寧に

Q. 仕事をする上で大事にしていることはなんですか?

A.とくに心がけているのは、ヒヤリングを入念に行うこと。私は何度もブライダルの司会を経験して、現場がどんなものか理解していますが、これから披露宴を準備するお二人にとってその現場ははじめてなわけです。
情報をできるだけ引き出して、おふたりのニーズに応えられるよう意識しています。そのために打ち合わせでは、図を書いたり、流れを丁寧に説明したりして、当日の動きや立ち振る舞いをしっかりイメージしてもらいます。
このときに生きているなと思うのは、不動産営業時代に上司から教わったこと。マンションを買いにこられるご夫婦やご家族との面談の雰囲気は、ブライダルの打ち合わせの雰囲気と似ているんです。そのときに上司から学んだのと同じスタイルを貫いています。たくさん引き出しておけば、当日気のきいたアドリブも入れられますし、自分が新郎新婦の身内になったような感覚で、ふたりに寄り添った話ができますから。

家庭も子どもも仕事も……すべて叶うのが司会の仕事

Q. 目標にしている人はいますか?

A.まわりにいる、家庭やお子さんを持ちながらブライダル司会を続けている女性の先輩方です。家庭だけではなく、仕事からも人生のやりがいを得ている前向きな姿に憧れを抱いています。
司会の仕事は「月に◯本くらい」など自分でペースを決められるのが魅力。ほかの仕事と比べて拘束時間も短いので、家庭を大事にしながらも、自分の輝ける場所を確保できて素晴らしい仕事だなと思うんです。

▽ 阿部恵さん

1987年1月生まれ。神奈川県出身。中央大学法学部卒業。宅地建物取引主任者、2級ファイナンシャルプランナー。大手不動産会社にて営業を経験したあと、セミナー、イベント司会運営業務に携わる。退職後、本格的に司会の勉強をはじめる。大手広告代理店にて事務にも携わり、友人司会なども積極的に行う。現在はにて司会業務、バックオフィス業務、新規登録司会者との勉強会を定期的に行う。

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