韓国で見た『韓方(ハンバン)』の世界〜韓方の聖地・大邱(テグ)での韓方体験
5月初旬(5月4日〜8日)、韓国の大邱(テグ)市で年に一度の大邱薬令市韓方文化祭り(薬令市フェスティバル)が行われました。朝鮮王朝時代から約400年続く薬令市が今も残る大邱は韓方との関係が深く、その中心にある薬令市通りには、約180店の韓方医院や韓方薬局、韓方薬材が並んでいます。今回は、大邱での韓方体験についてご紹介したいと思います。

年に1度の大邱薬令市韓方文化祭り

人口250万人の韓国第4の都市「大邱」は、ソウルからKTX(韓国の新幹線)で1時間50分。釜山からはバスで約70分の距離にあります。釜山の方からが近いですが、昔から交通の要所として栄え、人々が釜山から漢陽(ハニャン・現在のソウル)へ行くときに利用した「嶺南大路」と言われる街道が近くにありました。

加えて、大邱周辺の慶尚道地方には質の良い薬草が豊富。薬草をたくさん運ぶことのできる大きな川「洛東江(ナクトンガン)」もすぐ近くです。これら3つの地理的条件と、薬草を乾燥させるのに最適な雨が少ない気象も、朝鮮時代に韓国三大薬令市場があった大きな背景になっています。

大邱の薬令市は17世紀が起源ですが、1978年に始まった大邱薬令市韓方文化祭り(薬令市フェスティバル)に受け継がれ現在に至ります。毎年5月には、薬令市通りに薬草パークが造られ、高麗人参などの薬草が70種類以上も展示されるほか、フェスティバル期間中は、韓国伝統の四象体質診断や韓方茶の試飲、足湯体験など、さまざまな韓方体験ができるとあって、国内外から多くの観光客が集まります。

薬令市フェスティバルの屋台で販売されていた高麗人参の天ぷら

薬令市韓医薬博物館と薬令市通り

薬令市フェスティバルはお祭りということで、日常できない体験を気軽にできる機会となっていますが、それ以外の期間でも、大邱ではさまざまな韓方体験が可能です。

まず訪れて欲しいのが「大邱薬令市韓医薬博物館」。薬令市の由来やジオラマ、薬令市発展の過程がグラフィックとアニメーションで紹介されています。さらに韓方薬材の種類の解説や世界遺産にも認定されている医学書『東医宝鑑』の展示のほか、簡単な四象体質診断ができる機械があり、なんと日本語で診断も可能。2階では足湯や石けん作りなどの体験プログラムも用意されています(要予約・有料)。事前に申し込めば、大邱市の文化解説士による日本語の説明もお願いできます(無料)。

博物館を出ると、目の前はメインストリートの薬令市通り。そこには、韓方医院、韓方薬局、韓方薬材店が集まっています。どこからともなく韓方薬の香りが漂っているので、すぐわかります。最近はこの薬令市通りにおしゃれなカフェなども進出してきていますが、3代続く韓方薬材店や親子で営む韓方薬局など、代々続く家業を守ってきているところが少なくありません。通りを一本入ると、薬剤を作っている工房や韓方茶を飲めるカフェなども点在していますので、韓方に興味のある私にはワクワクの環境でした。

韓方医院、韓方薬局では、診断をした後に自分の体に合わせたオーダーメイドの韓方薬も処方してくれますが、残念ながら安くはありません(1か月3〜5万円)。韓方ビギナーの方は、韓方薬局で販売している菊茶やゴボウ茶などの韓方茶や、のど飴や韓方調味料といったリーズナブルな商品をまず試してみるのをお薦めします。

大邱市では現在、以前美容鍼の記事でもご紹介した韓方医療体験センターなど、外国人向けの韓方医療を医療観光として推進しています。医療と言うとハードルが高く感じますが、観光中に気軽にできる韓方体験を通じて、ぜひその一部を体感してみてはどうでしょう?自分の健康状態を知る良い機会にもなると思います。

薬令市博物館脇にある薬令門

薬令市場通りの韓方薬局

(写真・文ともに木谷朋子)