暗雲立ち込めるU23日本代表…リオ五輪へオーバーエイジ候補3選手を考える

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 苦戦は予想されていた。第44回トゥーロン国際大会に出場したU−23日本代表には、リオデジャネイロ・オリンピックの出場権を獲得した主力クラスが、所属クラブの事情やケガでごっそり抜けていたからだ。

 それにしても、シビアな現実を突きつけられた。1勝3敗という結果はともかく、リオへのアピールに成功した選手があまりに少なかったのである。

 手倉森誠監督は「世界のてっぺんに立つ」との野心を掲げる。4強入りした4年前の成績を超えようとの目標設定は、きわめて妥当である。右肩上がりの成果を求めなければ、チームに満足感や停滞感が忍び寄る。

 とはいえ、現実は厳しい。トゥーロン国際大会はU−23歳以下の大会だが、日本の対戦国々はひとつ世代の選手を多く並べていた。だから格下とは言い切れないものの、内容的にも相手に支配されての敗戦が続いた。後半は相手ゴールに迫った試合があったものの、その時点でリードを許していた。相手がゲームコントロールを心がけていたからこそ、主導権を掌握できたとの見方は成立する。五輪への見通しに、影が差し込んでいるのは否定できない。 

 世界の頂点を本気で目ざすならば、オーバーエイジ(OA)による戦力アップは不可欠だ。トゥーロン国際の大会中に、手倉森監督も「自分のなかではもう(誰を呼びたいのかが)定まった。もう口説きにかかれるな」と話している。

 OAによる補強について、指揮官はこれまで「サイドバック(SB)、2列目、FW」をポイントに挙げてきた。トゥーロン国際大会を受けて「若干の変化は起こっている」と話す。奈良竜樹(川崎フロンターレ)が全治4カ月のケガで五輪出場が絶望的となり、大会中に岩波拓也(ヴィッセル神戸)が負傷したセンターバック(CB)が、ここにきて不安を誘っているからだろう。「SB、CB、FW」へ、優先順位が変わったと考えられる。

 6月下旬から7月上旬の復帰が濃厚な岩波は、戦列に戻ってきたとしてもゲーム体力と試合勘の回復に疑問符がつく。植田直通のパートナーにOAを指名し、岩波を3番手とするのがベターだろう。

 候補者を選ぶにあたっては、ロシア・ワールドカップを射程とする人材であることが前提条件になる。「OAを呼ぶのであれば、その選手と一緒にU−23世代がプレーすることで、互いにロシアW杯へつながるようにしたい」と、手倉森監督は説明してきた。

 国内クラブの選手には、「1クラブから3人まで」という条件が加わり、海外クラブの選手には、所属クラブとの難しい交渉が待ち受ける。U−23日本代表に加われば、欧州のプレシーズンを留守にすることになる。新天地を選ぼうとしている選手、現クラブで巻き返しを図りたい選手にとって、プレシーズンの活動に参加できないのは大きな代償を伴いかねない。

 また、五輪終了直後の9月上旬には、日本代表のW杯アジア最終予選が開幕する。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にすれば、U−23日本代表には協力するものの、OAの選手には万全のコンディションで最終予選に臨んでほしいというのが本音だろう。

 様々な制約をくぐり抜ける選手は、実はそれほど多くない。海外組であれば、所属クラブでの立場が安定している選手に可能性がある。たとえば、長友佑都(インテル)だ。リオ五輪の出場については、彼自身も前向きな発言が聞こえてくる。

 日本サッカー協会の霜田正浩ナショナルチームダイレクターは、「五輪に行きたい、クラブが許せば日本のために頑張りたいという気持ちがあって初めて、クラブと交渉ができるという感じです」と話している。ハリルホジッチ監督の代表でも欠かせない選手だが、両サイドバックで高水準なパフォーマンスを保証し、必要なら中盤でもプレーできる万能性も備える29歳は、ぜひとも口説き落としたい選手だ。

 CBは誰か。森重真人(FC東京)は魅力的だ。ボランチでもプレーできる汎用性があり、直接FKのキッカーにもなれる。所属するFC東京からは中島翔哉らがU−23日本代表に選ばれているが、森重を含めても3人で収まる公算が強い。

 FWでは金崎夢生(鹿島アントラーズ)を推す。ロシアを射程にしており、J1でも結果を残している。U−23世代の久保裕也(ヤング・ボーイズ)や浅野拓磨(サンフレッチェ広島)とは違うタイプで、2トップでも1トップ(3トップ中央)でもプレーできる。ボールは握れるが相手守備陣を崩し切れなかったトゥーロン国際大会の攻撃に足りなかった、シュートの意識もずば抜けて高い。

 金崎がプレーする鹿島からは、GK櫛引政敏と植田の招集が濃厚だ。五輪期間中もJ1リーグを戦うチームには痛手だが、五輪の上位進出は日本サッカー全体の利益につながる。OAの招集を打診された国内クラブには、中長期的な視点で判断をしてもらいたい。

文=戸塚啓