スマホなら最初から世界展開も可能 AFP=時事

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 4月上旬に大前研一氏が上梓した『「0から1」の発想術』(小学館)が大きな反響を呼び、発売わずか1週間で増刷となった。大前氏は、「いま、新しいビジネスを生み出すチャンスは誰にでも広がっている」と語る。

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「無から有」を生み出す「ゼロイチ」「ゼロワン」という言葉が、現代のビジネスのキーワードになっている。

 その発想術をまとめた拙著『「0から1」の発想術』に寄せられた多くの反響を見ると、イノベーションを起こすための具体的な方法論を知りたい人が多かったのだと考えられる。

「0から1」「無から有」というと、ベンチャー企業やスタートアップの専売特許と思いがちだが、そうではない。日本の企業の99%を占める中小企業こそ、「0から1」「無から有」の発想によるイノベーションで新しいビジネスにチャレンジすべきなのだ。

 ところが、多くの中小企業の経営者やビジネスマンは、「資金がない」「人材がいない」「設備が足りない」といった理由で、新たな一歩を踏み出せないでいる。新規事業を打ち出したとしても、従来のビジネスの延長であることが多い。しかし、今の時代は「3つのクラウド」を活用すれば、中小企業の3つの「ない」は簡単に解決できる。

 20世紀のビジネスの三要素は「人・モノ・カネ」と言われた。が、それが「クラウドソーシング」「クラウドコンピューティング」「クラウドファンディング」という「3つのクラウド」で代替できるようになり、少人数でも(極端に言えば人でも)、あるいは設備や資金がなくても、明確な事業計画さえ提示できれば新たなビジネスが展開できる時代になったからである。

 人材は、クラウドソーシングで国内外の有能な人たちに外注すれば、これまでの数分の1〜数十分の1のコストで済む。ハードウエアやソフトウエアは、クラウドコンピューティングを利用すれば、巨大なサーバーなどを自前で持つ必要はなく、スケーラブル(規模の拡大が可能)だ。事業資金も、良いアイデアであればクラウドファンディングによって不特定多数の人たちから調達できる。

 要するに、「人・モノ・カネ」がなくても、アイデアと事業計画さえ優れていれば、どんどんビジネスを拡大できるのだ。言い換えれば、21世紀は「人・人・人」であり、“尖った人間”が1人いれば、古い秩序を破壊できる。「資本が小さい」とか「人材が少ない」といった中小企業の概念にとらわれてはいけない。クラウドを活用することで、新たなビジネスのヒントが山ほど出てくるのだ。

※SAPIO2016年6月号