28日、2年ほど前より中国のゴルフ場の閉鎖問題が日本のメディアでも取り沙汰されていたが、今年に入ってもその問題は実は続いている。写真はゴルフの指導を受ける北京裕福階層の子ども。

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2016年5月28日、2年ほど前より中国のゴルフ場の閉鎖問題が日本のメディアでも取り沙汰されていたが、今年に入ってもその問題は実は続いている。汚染水を出しているという理由で、北京、上海、深センなどの主要都市も含めゴルフ場は閉鎖に追い込まれている。

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それに伴って中国でのゴルフクラブの売り上げも大幅に落ち込み、ほとんどのクラブメーカーは中国ゴルフ市場での戦略を見失っている。特に中国ならではの高級ゴルフクラブ市場はその8割ほどがなくなり、今の世界の高級クラブ市場はインドネシアに移ってきた。日本メーカーが得意とした中国市場用に作っていた金のIP加工にダイヤなどを施した装飾品に近いゴルフクラブも、今や市場ではほとんど見られなくなった。

この状況は中国本土のみならず香港も同様で、香港のゴルフショップの売り上げも大幅に落ち込んでいる。実は香港のゴルフショップの売り上げの8割から9割は本土のお客さんだったため、本土客のクラブ購入の落ち込みは香港にも直結する。さらに、ご存じの中国旅行客の「爆買い」が香港から日本に移行したため、ゴルフクラブも日本で購入する中国人が増えてきている状況だ。

かと言って、単純に見極められないのが中国ゴルフ市場。ゴルフ練習場では新しいゴルファーがどんどん生まれ、練習場の来場者数は増えているところが多い。同時にジュニアゴルフが盛んになり、中国全土のゴルフアカデミーはジュニア主体のビジネスに切り替えているところが多く、子供にゴルフを教えたいという親は急速に増えてきている。

その理由としては、馮珊珊(フォン・シャンシャン)を初めとした世界レベルで活躍する中国トッププロゴルファーが増えてきたこと。さらにはそのレッスン市場拡大に合わせて、欧米から著名なPGA(プロゴルフ協会)プロも中国にどんどん集まってきており、欧米人から英語も含めたゴルフレッスンを受けられる場所も増え、米国へのゴルフ留学を頭に入れた親たちの期待も膨らんでいる。それに合わせて、欧米人のレッスン料も日本でよりもかなり高額なものになっており、さらに優秀な欧米レッスンプロが集まるという相乗効果が起きている。

その一番顕著な場所がMISSION HILLSゴルフ場を含めたゴルフ場のメッカである深セン市だ。グリーンフィー(ゴルフコース使用料)もこの2年で値上がりしており、平日でも3万円ほどと、日本の下がり続けるグリーンフィーと比べると、勢いを感じる。

ゴルフ市場は得てして経済のいいバロメーターであり、ゴルフクラブの値段、市場は下がりながらも、グリーンフィーが上がっている市場は不動産も上がっているし、ジュニア市場やゴルフ人口は中国全土で膨らんでいる。中国の市場を表面上の商品の売り上げ動向だけでは推し量れない、水面下の他のファクターも理解していないとこれからの変化を予測できない良い例だと言えよう。

■筆者プロフィール:竹田慎
Able Great Consultants Ltd CEO
米カリフォルニア州立大卒。95年より中国ゴルフビジネスに携わり、98年に北京竹田ゴルフを設立。日本ゴルフブランド数社の中国総代理となる。06年より健康器具ブランドの総代理も始め、3年間で全土に280店舗の加盟店展開を果たす。10年にセーラー万年筆の総代理。16年よりWECHATでのマルチネットワークビジネスにも参入。香港では自身の海外経営の経験に基づいて、日本大手ブランドへの実践的海外市場戦略コンサルティングを展開中。