『神様メール』 (C)2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage

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(…前編「“大人になれない大人たち”ばかり」より続く)

前編/子どもたちの姿が切ない! 大人に頼らず奮闘する姿に心打たれる『神様メール』【ついついママ目線】

【映画を聴く】『神様メール』後編
今よりちょっとだけでも
子どものために親自身が成長しなきゃ…

傍若無人で人間の不幸を楽しむ“神様”を父に持つ少女エアが、人間たちに運命から解放されることを願って余命を知らせるメールを送る『神様メール』。余命54日しかない少年のウィルはひとりで自分の問題を抱え、自分の願いを叶えるために小さくて大きな一歩を踏み出す。映画にしばしば登場するが、頼れる大人がいないまま、自分で壁を乗り越えてゆくことを余儀なくされる子どもを見ると必要以上に切なくなる。ウィルだけでなく、人間界を旅している主人公のエアからしてそんな子どものひとりだ。

そんな子どもたちを見ると、子どもを支える親として、まず自分自身が成長せねばと思う。それはなにも、達観した境地でどんな荒波にもビクともしない、それこそ神のような存在にならなくてはいけないわけではないだろう。

今よりも他者や外部を受け入れられるだけ一回り器を大きくして、自分自身を見失わない余裕を持つこと。そんな大人がそばにいるだけで、子どもの心細い思いはちょっとでも軽くなってくるんじゃないだろうか。ぐんぐんと子どもを導いて引っ張っていく存在になろうと気負うのじゃなく、頼りなげな子どもが寄りかかっても倒れない程度の存在にはなりたいと思う。

『神様メール』はかわいいミラクルが起きてクスッと笑えるハッピーな気分にさせてくれるけど、本当の人生にはそんな奇跡が起きるわけじゃないのだから。(文:入江奈々/ライター)
『神様メール』は公開中。

入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。

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