屈強な男が刃物をもって攻撃してきたら?居合斬りのギネス記録保持者に身を守る術を聞いてみた

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芸能活動をしていた女子大生が、ファンから20箇所以上刺された事件から一週間近くがたとうとしています。

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つきまといのイメージ

犯人は被害者の熱心なファンだったものの、ある時プレゼントした品物が送り返されてきたことに腹を立て、それまでの好意が一転して悪意へと変化。
その後はブログやツイッターを通じ、被害者にあて執拗なまでの悪意をぶつけていたそうです。

そして起こった事件。犯人は学生時代、柔道選手として名を上げており、身長は180センチ以上と大柄で、犯行時には女子大生が逃げられないよう肩をおさえつけ、折りたたみナイフを使用し刺傷していたと伝えられています。

■ネットでは「一般人でも他人事ではない」

今回の事件は「芸能人」と「ファン」という点ばかりがクローズアップされていますが、昨今誰でもネットを通じて他者と交流できることから、深く知らない相手に一方的に好意をよせられるのは誰でも起こりうる事象。
「ネットだけの知人がある日目の前に現れストーカーになった……」そういうことは過去にも実際おきているのです。

これをうけネットでは「一般人でも他人事ではない」という不安の声が上がっています。また中には「刃物をもった相手に対しどうすれば身を守れるのか」という声も。

これまで様々な媒体において、「痴漢撃退法」や暴漢からの「護身術」は紹介されていますが、今事件では「刃物」が使われており、素手の相手とはわけが違います。

そこで、居合斬りに関する5つのギネス記録をもつ居合術家であり刀剣研師としても活躍する刃物のスペシャリスト 町井勲さんに何か自衛する術はないのか聞いてみました。

■剣の達人が語る「刃物を持ちだしてきた時の護身術」が意外だった

町井さんの話によると、今回の犯人のように巨漢で武道の経験者、さらに明確な殺意を持っていたということを考えると「こちらも相手を殺すつもりでかからなければ残念なことに身はまもれません」とのこと。これは一般の人に限らず、長年訓練をうけ鍛え上げた肉体をもつ町井さんの場合でも同じことだそうで、なまじ素人が相手にして「撃退することはほぼ不可能」という意見。

そこで、もし被害に遭いそうになったらせめて身を守る方法はないのかと尋ねてみたところ、「もっとも有効なのは“とにかく逃げること”」という冷静な回答。また「手っ取り早い護身術としては、催涙スプレー」とも教えていただきました。ちなみにハイヒールは逃げる妨げとなるので、緊急時は容赦なく「裸足になってください」というアドバイスが。

おはずかしながらインタビューをお願いする際には、「居合術の達人の立場から有効な護身術のアドバイス」を期待していました。しかし、町井さんのお話を聞くにつれ「付け焼き刃の護身術はかえって危険」ということを教えられたのです。

またインタビューの中で町井さんは「反撃したらこちらも罪に問われることがあります。正当防衛は凄く判断が難しいのです」とも。たしかに指摘されるとおり、正当防衛の判断には時間がかかり、また難しいともされています。過去には、酔っ払いから過剰な攻撃をうけ反撃の一発を返したことで相手が死亡し、最初に攻撃されていた側が「傷害致死罪」で逮捕・起訴されたケースも。この時は目撃証言などにより最終的に無罪を勝ち取っていますが、そこまでに行き着くには様々な角度からの検証、証拠、証言など膨大な時間と労力、人の協力が必要となります。これは日本が抱える問題点の一つであり、今後議論をすすめ改善しなければいけない点。

しかし現実は「反撃すれば場合により逮捕されることもある」ということには変わりません。そのため、町井さんの仰るとおり、被害に遭いそうになったらとにかく「逃げる」。もし緊急性がある状況になったら「催涙スプレー」。この2つが、「自分の身」と「社会的立場」を守るとても有効な手段となってきそうです。
町井さん今回はご協力ありがとうございました。

▼町井勲さん
5つのギネス記録を保持し、平成の侍の異名を持つ居合術家。修心流居合術兵法の創流者で兵庫、大阪、東京にてその技を指導。さらに刀剣研師としての側面も持っている。
著書は漫画『るろうに剣心』の作者・和月伸宏との共著書『最強のすすめ 〜日本刀が教えてくれた日本人の生き方〜』(宝島社)が発売中。

(文:宮崎美和子)