2015−2016シーズンNBLファイナル展望

 5月28日、NBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)のファイナルが開幕する。昨年10月にレギュラーシーズンがスタートし、今年5月から行なわれているプレーオフを勝ち上がった2チームは、昨季のNBL覇者・アイシンシーホース三河(レギュラーシーズン4位)と、一昨年のNBL覇者・東芝ブレイブサンダース神奈川(3位)。今秋から「Bリーグ」がスタートするため、今年の覇者は「NBL最後の王者」となる。その栄冠を手にするのは――。

 レギュラーシーズン4位(35勝18敗)でプレーオフに駒を進めたアイシン三河は、クォーターファイナルで日立サンロッカーズ東京(5位/34勝20敗)を、そしてセミファイナルではレギュラーシーズン勝率1位(47勝8敗)のトヨタ自動車アルバルク東京をともに2連勝(※)で破り、ファイナルの舞台にやってきた。

※クォーターファイナルとセミファイナルは3戦2戦先勝方式。ファイナルは5戦3戦先勝方式。

 スターターには、リーグ屈指のスラッシャー比江島慎(G)、天才シューターの金丸晃輔(G/F)、39歳となった今も老獪なテクニックで得点とリバウンドを量産する元NBAプレーヤーの桜木ジェイアール(C/F)らが居並ぶ。さらに、今季ブロック王のギャビン・エドワーズ(C/F)、208cm・133kgの体躯を武器にゴール下で強さを見せるアイザック・バッツ(C)と、両外国人選手もリーグ屈指の存在だ。

※ポジションの略称=G(ガード)、F(フォワード)、C(センター)。

 アイシン三河のスタイルは、ハーフコートでじっくりとオフェンスを組み立てる戦術を得意とする。どの選手も得点能力が高いため、対戦チームはディフェンスの的を絞ることができない。また、アイシン三河の最大の武器は、ここぞの「勝負強さ」だろう。今年1月の天皇杯でも優勝したように、狙ったタイトルを確実にモノにしている。ここ一番を勝ち切るその強さはリーグ随一だ。

 一方の東芝神奈川も、2013−2014シーズンのNBL初代王者、そして2014年の天皇杯を制している強豪だ。今年のプレーオフでは、クォーターファイナルでレバンガ北海道(6位/28勝27敗)を2連勝で下し、セミファイナルでは田臥勇太(PG)率いるリンク栃木ブレックス(2位/43勝11敗)を第3戦までもつれ込みながら、大激戦の末に破ってファイナルに進出している。

 チームの2枚看板は、シューターの辻直人(G/F)と、対戦相手の桜木ジェイアールと同じく元NBAプレーヤーのニック・ファジーカス(C)だ。辻は今季リーグ2位(41.5%)のスリーポイントシュート成功率を誇るシューターで、身体能力も高い。一度シュートが決まりだすと、少々無茶な体勢からでもねじ込んでくる強さを持ち合わせている。

 ファジーカスは、レギュラーシーズンMVPこそライアン・ロシター(F/リンク栃木)に譲ったものの、今季のリバウンド王(1試合平均13.5本)を獲得し、平均得点もリーグ2位(平均25.9得点)を誇るビッグマン。長身(210cm)ながら器用さも兼ね備えており、インサイドでの無類の強さだけでなく、ときおり放つスリーポイントシュートも37.0%の高確率で沈めてくる、まさにアンストッパブルな選手だ。

 レギュラーシーズンの両者の対戦成績は、3勝2敗で東芝神奈川が一歩リード。しかし、アイシン三河が勝った2試合は、15点差と10点差。対する東芝神奈川が勝った3試合は、2点差、4点差、1点差の大接戦だ。流れひとつで点差が開く可能性はあっても、実力は五分と言っていいだろう。3戦先勝方式のファイナル、そのすべての試合が接戦になってもおかしくない。

 力量は紙一重と言っていい、最後のNBLファイナル――。だが、ここで勝つと負けるでは、チームの未来にもたらすものは大きく違ってくる。

 今秋、NBLとbjリーグが統合されて「Bリーグ」が開幕する。この新リーグには、B1(1部・18チーム)、B2(2部・18チーム)、B3(3部・9チーム)の合計45チームが参入する。B1はNBLからの8チームと、bjリーグからの10チームで構成される。9月22日〜23日の開幕戦は、フジテレビの地上波独占生中継が決定するなど、1993年のJリーグ開幕の熱狂には及ばないまでも、日本バスケットボール界にかつてない注目が集まることは間違いない。

 昨年9月には、「ドリームゲームズ」と銘打たれてNBLとbjリーグとの交流戦が実現。昨季bjリーグ覇者の浜松・東三河フェニックスとNBL覇者のアイシン三河、トヨタ東京(NBL)と秋田ノーザンハピネッツ(bjリーグ)が対戦し、結果はどちらもNBLチームが勝利した。集客力ではbjリーグがNBLを上回っていたが、現時点の実力ではNBLが上と言っていい。

 つまり、ファイナルを制して「NBL最後の王者」となることは、「Bリーグ最初の王者」の最短距離に位置づけられる、ともいえよう。もちろん、初年度のBリーグ王者を目指し、今年の夏はどのチームも大幅な補強を進めるだろうが、選手を獲得する際、「NBL最後の王者」の肩書きが有利に働くことは間違いない。

 果たして、NBL最後の王者に輝くのは、アイシンシーホース三河か、それとも東芝ブレイブサンダース神奈川か――。今後の日本バスケットボール界を占ううえでも、今年のNBLファイナルは必見だ。

水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro