現在、日本人は3ルートから渡ってきたと考えられている

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アウトドアブランドのモンベルは、5月26日(木)都内にて、「第8回モンベル・チャレンジ・アワード授賞式」を開催。「3万年前の公開 徹底再現プロジェクト」の代表である海部陽介・国立科学博物館 人類史研究グループ長が受賞した。

【写真を見る】「第8回モンベル・チャレンジ・アワード授賞式」にて、左から辰野モンベルグループ代表、海部氏、関野氏、内田氏

モンベル・チャレンジ・アワードは、自然を舞台として、人々に希望や勇気を与え、社会に対して前向きなメッセージを伝える活動を応援する目的で2005年に創設。モンベルクラブ・ファンド活動の一環として運営されている。

今回受賞した「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」は人類学者や考古学者、海洋冒険家などからなる20数名のチームが、「日本人のルーツ」という謎の解明に挑むもの。

約20万年前にアフリカで誕生した現生人類(ホモ・サピエンス)が、日本に渡ったのは約3万8000年前。北(サハリン〜北海道)、西(朝鮮半島〜九州)、南(台湾〜沖縄)の3つのルートで辿り着いた説が一般的だ。

今回はそのうち、南ルートに着目。台湾から黒潮を横断する100km以上の航海を、復元した古代の草舟で実験を行い、祖先たちが挑んだ困難を自ら体験して検証する。2016年7月に第1回目の長距離実験航海として与那国島から西表島を渡り、そして2017年夏に本番である、台湾から与那国島の航海を実施する予定だ。

モンベルグループの辰野代表は式の中で、「今回8回目を迎えたモンベル・チャレンジ・アワードは、毎年出している賞ではなく、今年は3年ぶりとなります。我々は成功者に対して受賞や支援をするのではなく、挑戦者、プロジェクトそのものに出しているのが特徴で、実際、これまで受賞したものは、どれ一つ達成していないものばかりです。ですが、フロンティア・スピリットに対して、様々なリスクがあるとしても、私達は支援していきたいのです」

「今回のプロジェクト、3万年前の検証というのは、実験そのものの価値はもちろん、そこからの議論にも注目が集まると思う」と受賞理由を話した。

受賞者の海部プロジェクトチーム代表は、「主催する博物館としては、初めてのクラウド・ファンディングを実施しました。そして、20名以上の研究者だけでなく、海洋探検家の方とチームを組んだことが、大きなポイントで、このような試みは世界初だと思っています。祖先たちに迫る僕達のチャレンジを認めて頂いたことを、嬉しく思います」

「琉球の島々には約3万年前の遺跡が数多くあります。これは、当時の祖先たちが、航海を成功させ海を渡ってきた証拠でもあります。ですが、台湾と与那国島の間には黒潮という世界でも有数の海流があり、これを乗り越えることができるのか、どうやって祖先は乗り越えたのかが最大のポイントになります」

「アジア大陸と日本列島は陸続きだった、という説があります。台湾とアジアの大陸はつながっていましたが、中央および南琉球には、固有種が多い事などから、地質学的にも生物学的にも、否定できます。つまり、台湾から与那国島までの約100kmを、人類は渡ってきたのです」

「舟ですが、遺跡から斧などが見つかっていないので、丸太を削ったとは考えづらいです。竹を使ったイカダ、もしくは草舟である可能性が高いと思います。その中で、イカダはスピードが出ないので黒潮を横断することは難しい。よって、草舟ではないかと考えています。また、島にはヒメガマという草舟に適した植物が多数自生しているのも、理由の一つです」

「ナビゲーションについては、目視だけで頼っていたら到着できないと思う。それについては、これから検討する。チャレンジを7月としたのは、一年を通して一番海が落ち着いており、また南からの季節風にのりやすい事、視認性がいいなど、メリットが多いためです」

「机上で考えても答えは出ません。やってみることで、正解に近づいていきたい。ただ、アイデアはあったが、お金はありませんでした。そこで2月9日にクラウドファウンディングを実施し、2620万円を集めることができ、今回のチャレンジとなりました。科学研究と冒険と合わせて何が起こるのか、ぜひご期待ください」と熱く語った。

このプロジェクトは、ホームページまたはフェイスブックで情報公開していくとのことだ。【東京ウォーカー】