あくまでハリルホジッチの会見内容から推測すると、ブルガリア戦の予想スタメンは上記のようになる。清武を控えにするのは勿体ないが…。

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 6月3日に豊田スタジアムで戦うブルガリア代表は、FIFAランクだけで判断するなら日本の格下だ。しかし、舐めてかかれば痛い目に遭う。

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 実際、3年前のキリンチャレンジカップ2013では、今回の舞台と同じ豊田スタジアムで完敗。要所を抑えたブルガリアの守備を崩せず、セットプレーから2失点と、ほとんど良いところなく敗れた。本田、岡崎、酒井高が不在だったとはいえ、不運のひと言では片付けられない敗戦を喫している。
 
「ブルガリアとの対戦成績で、日本は分が悪い。引き分けがひとつで、負けが4回。一度も勝っていません。このチームに勝てれば、大きなことでしょう。
 
ブルガリアは、少し南米の国にも似ています。フィジカルもアグレッシブで、しかも意地悪なことをしてくる。南米の国は、想像できないようなデュエルをしてきます」
 
 メンバー発表会見の席でそう言ったハリルホジッチ監督も、警戒の色を強める。今回初招集した大島、小林祐について「試合で使うかは分からない」とコメントしたところからも、指揮官の本気度は窺えるだろう。
 
 今年3月のワールドカップ・アジア2次予選前には「ふたつのオーガナイズを試す」「いつもとは違うやり方もするかもしれない」などヒントをくれたハリルホジッチ監督も、今回の会見では選手評にほぼ終始。戦術についてはあまり言及しなかった。
 
 ワールドカップ・アジア最終予選前の最後の実戦でもあり、スタメンについてもハリルホジッチ監督のコメントから推測するかぎり冒険はしなさそうだ。システムも3月にテストした4-4-2ではなく、従来の4-3-3で戦う可能性が高い。
 
 GKは、「あのキック精度は近代サッカーに不可欠」とハリルホジッチ監督も評する西川だろう。「誰が出場するかは分からない」と指揮官も言うように東口や川島にもチャンスはあるが、この1年の代表での実績も踏まえれば本命はやはり西川だ。
 
 4バックの最終ラインは、右から酒井高、吉田、森重、長友になりそう。槙野は今回、ハリルホジッチが「左SBで試したい」と断言したとおり、長友のサブと見るのが妥当だ。右SBには、コンディションが酒井宏より良さそうな酒井高が起用されるに違いない。

 その酒井高は3月の予選時、「今は楽しめている。1対1の局面で守っている時も『来いよ!』と思えるぐらい余裕がありますからね」とコメントしていた。内田が離脱中の今こそ、彼にとってはアピールのチャンスになる。
 
 CBについては、サウサンプトンでサブに甘んじた吉田をなぜスタメンで使うのかとの意見もあるだろうが、実績では丸山と昌子の上を行く。狆探酲 蹐嚢佑┐譴弌吉田と森重のコンビが堅い。
 
 大島、遠藤のU-23代表コンビが選ばれたボランチは、キャプテンの長谷部がスタメン確定でそのパートナーは柏木か。ただ、トゥーロン国際大会に参戦していない遠藤にチャンスがないわけではない。ブルガリアの攻撃を警戒し、より守備的な戦いをするなら長谷部&遠藤という組み合わせもありえる。
 
 トップ下から前の4ポジションは、よりコンディションが重視されそうだ。ハリルホジッチ監督から絶大の信頼を置かれている本田はさて置き、CF、トップ下、左ウイングは果たしてどうなるか。
 
 CFの一番手は間違いなく岡崎だが、「(レスターが優勝したおかげで)彼はいろんなところに旅行しており、そこからイングランドに戻ってというような状態です。プレーできるフィジカルかは分かりません」と指揮官は不安視している部分もある。
 
 CFの二番手と目される金崎についても「ちょっと疑問を抱いているところがあります。怪我をよくしますし、病気にもなります」と厳しい見解を示している。ひょっとすると、U-23代表から抜擢した浅野にもチャンスがあるかもしれない。
 
 左ウイングは宇佐美と原口の一騎打ちだろう。Jリーグでコンスタントにゴールを決めていない宇佐美よりも、ブンデスリーガでタフさを身に付けた原口のほうがスタメンに近いと見る。
 
 ひとつの注目点として、その原口を3月のシリア戦と同様にボランチで起用するかということも挙げられる。ハリルホジッチ監督は「MFで起用するかもしれない」と言っており、後半から長谷部&原口のボランチコンビが見られるかもしれない。
 「トップ下は香川で決まりなのか」という疑問を、あえて投げかけたい。香川のライバル、清武については「まだまだ伸びるところがありますね。A代表に多くのことをもたらせる選手です。香川と競争して欲しいです。彼らがボールを奪うところ、ディシプリンを覚えれば、シンジと清武を同時に使いたいと思っています」と指揮官も言っている。

 香川もドルトムントでは良いパフォーマンスだった。しかし、今季ブンデスリーガの後半戦、3月のアフガニスタン戦の活躍を見るかぎり、清武もサブに置いておくような選手ではない。ハリルホジッチ政権下でも絶対的な存在であった香川の地位が、清武によって脅かされる──。そうした競争がチームを強くするためのひとつのきっかけになるだろう。
 
 香川が清武や小林祐にまくられないようにするには、メンタルタフネスが求められる。本人も「精神的に強くなりたい」と話すように、どんな状況でも力を発揮できる安定感が欲しい。ザッケローニ政権下での香川は3年前のブルガリア戦で沈黙し、ブラジル・ワールドカップ本大会のギリシャ戦ではスタメン落ちの屈辱を味わうなど、頼もしさに欠けたところがある。
 
 香川が自ら課題にも挙げる精神的な強さを身に付けるうえでも、清武とのスタメン争いはひとつのポイントになる。避けたいのは、「トップ下のレギュラー=香川」という図式がこのまま続いてしまうこと。ブルガリア戦でいきなり清武を先発起用して、香川に危機感を募らせるのも代表強化を考えれば有効な手段になるかもしれない。